掃除の仕方を学校で覚える機会のない子どもたち
2011.12.17 up
サンパウロの州立学校で働く清掃職員の男性
ブラジルでは幼稚園や保育園にはじまり、初等学校から高等教育機関にいたるまで、公立私立を問わず、子供も先生も自分たちが使用している空間を自らで掃除をする習慣がほぼありません。
さらに、中流階級以上の家庭では、毎日、もしくは月に数回程度など、頻度は様々ですが掃除婦を雇う習慣があります。家の前の公共の道路や歩道も頻繁に市の清掃職員が掃除してくれています。そのため、その様な環境で育つ子どもたちは、自分の身の回りの掃除の仕方を知らないで育つということが起こり得ます。
ちなみに、家庭で雇う掃除婦は女性がほとんどで、公共スペースを掃除するのは男性の姿も目立ちます。
幼稚園児くらいまではまだ掃除ができないのは仕方がないとも思えますが、小学校くらいの年齢で雑巾の絞り方が分からないという子供がいる状況に遭遇することがありました。もちろん、その場で説明すればすぐにできるようなことなのですが、日本の学校に通っていれば、親が放っておいても雑巾ぐらい絞るように言われて戸惑うことはないはずです。
そう思うと、学校は一日数時間とはいえ、勉強やそれ以外の生活習慣を暗黙のうちに身に付けてしまう場所であるということを改めて痛感させられます。
以前、色々な国の青少年が集まる研修が日本であった時の噂話を聞きました。皆がというわけではありませんが、ブラジルの子供が部屋を使った後はとても汚いという評判でした。
別に掃除を怠けたかったわけではなく、しかもブラジルの人々は私的なスペースに関しては無類の清潔好きです。
ただ、学校でも家庭でも清掃職員が掃除をしてくれるというのに慣れていれば、身の回りを掃除するという発想が身につかないのも納得です。また、プロの清掃職員の方がきれいにしてくれることが圧倒的です。
掃除は掃除専門の人がするという発想や習慣と、自らの身辺は自分で修めるという教え、どちらがいいのか分からなくなるようなブラジルです。
ブラジルの保育所で清掃職員として掃除をする男性
サンパウロの公共道路を掃除する市の清掃職員の男性
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2 - Comments
和より:
2012 年 01 月 01 日 13:52:42
パレスチナ難民局
女子校で美術隊員やってる 和といいます。
ヨルダンの清掃風景はこちら。
http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=2011112854727
どこも似たような問題が横たわっていますね?
というか、ブラジルやヨルダンがスタンダードなんでしょうかね・・。
でも、ポイ捨てなどが本当にひどくて、ちょっと悲しくなります。
emiliaより:
2012 年 01 月 02 日 19:34:36
〉和さん
コメントありがとうございます。ブラジルは表面的にはアラブ世界と離れているかと錯覚しますが、かなりアラブ世界を抜きに語れないことが資料などを読むと分かります。神様次第という生活に根ざす感覚、ほかに実際的なことで言えば、例えば出産は帝王切開が多いのですが、トルコも多いようで、理由はともかく、アラブ世界に通じるものが庶民の間に根付いているように見えます。アラブとブラジル、色んな民族や文化を持つ人が隣に暮らしているというのが共通するように思うのですが、気のせいかなあ!?奥深い話ですね。
いづれにしても私的なところはきれいにしますが、公的なところを自らできれいにしようという発想が薄いように見えます。
話は変わりますが、偶然、このお正月に和さんのようにヨルダンにいたこともあり、アラブ世界に高い関心を持たれる日本の女性に出会い、ブラジルとアラブに関して意見を交わしていました。奇遇というか、神様のお導きを感じる当サイトでの新たな出会いとなったこと、すごく嬉しいです!!
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