メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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 毎年7月25日、グアダラハラの隣町トナラでは、100年近く続く「タストアン」という夏祭りが行われます。
 日本の皆さんがお考えになるような、夜暗くなってから露店がでるような祭りとは一味違い、むしろ「悪魔払い」に近いお祭りです。

 1530年、この付近一帯に住むインディヘナの村の中心が、このトナラにありました。そこに、スペインの征服軍がやってきて、インディヘナと戦ったのがこの祭りの由来でもあると言われています。(諸説あります)

 白馬に乗った聖サンティアゴと、戦いを挑むもそのムチに打たれて退散していくインディヘナ。その戦いの模様を、現在の「自分のなかにある弱さ」に置き換えてもいると、主催の一人は語っています。


博物館ののどかな中庭でお面作り

博物館ののどかな中庭でお面作り

 タストアン(悪霊)に扮する若者たちは、祭りの前の数週間、この年自分が身につける仮面を作成することに没頭します。
 数年前に初めてこの祭りを見たとき、その「お面」の出来、芸術的センスにとても驚きました。運良く、トナラの小さな博物館で5、6月の毎週土曜日にこの「お面作成講習会」が行われていたので興味津々、参加してきました。

 まず、初めてタストアンに参加する人たち、お面をつくる人たちに向け、ざっくりと祭りの説明がされます。歴史の再現という説、今ではそれを内なる弱さ(=悪霊)をお面に表して、ムチに打たれることで強くなろうという解釈もあるようです。


この真剣な表情はさすがトナルテカ(トナラ人)

この真剣な表情はさすがトナルテカ(トナラ人)

 新聞紙のハリボテやなにかで簡単に作るのかと思いきや、材料として登場したのは豚の背中の革。硬く分厚く頑丈な部分です。

 これにナイフで切り込みを入れ、ドリルで穴をあけ、ロウの塗られた太い糸で縫い合わせ、鉄仮面のようにします。
 集まった参加者は、小学生から高校生、大人も混じって、なんだか楽しい「町内会」の雰囲気です。と思ったら失礼いたしました、小学生であってもすでにお面作成の経験者。私に親切にあれこれと教えてくれます。
 
 とりあえず、初回はここまで。
 皆さんに手伝っていただいてなんとか「鉄仮面」のようにはなりましたが、でも手順も分からなければ、どういうデザインにするかも考えていなかったので、これから何をするのか、も見えていません。先輩にすがるしかないようです。

 小・中学生と言っても、彼らはこの街の子供達。世界中から買い付けにやってくるこのトナラの街は、素朴な民芸品や個性的な絵付けで有名なトナラ焼きという陶器の職人さんがたくさん住んでいます。彼らの家族も、そのような職人さんなのでしょうか。手芸、アート作品にかけてはこの街の子供達はすでに巨匠の域、と言ってもいいでしょう。真剣さが違います。

 次週は、革の仮面から3Dに仕上げていきます。


参加者同士が教えあって、和やかな講習会

参加者同士が教えあって、和やかな講習会



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