日本の子どもたちが年に一度の地域のお祭りを楽しみにしているように、スペインの子供たちが1年に一度心待ちにしているのが「カバルガータ（Cabalgata）」。らくだに乗った三賢人が、飴や小さいおもちゃをバラマキながら地域を回る仮装パレードです。

　毎年1月5日の夕方から夜にかけてスペイン各地で行われるカバルガータ。マドリードやバルセロナ、バレンシアのカバルガータのパレードをテレビでご覧になったことがあるかもしれません。東方から来たという三賢人がラクダに乗っているのはもちろん、キリンなどの動物や妖精といった仮装行列が続きます。豪華に飾られた山車からは飴が撒かれて、子どもたちは空から降ってくる飴をキャッチするのを楽しみます。

　エンターテイメント性も見応えも抜群ながら、大都市のカバルガータの難点は、非常に混雑していて、山車から放り投げられる飴さえも取れないこと！人ごみに埋もれないようにパレードを一目見るだけで精いっぱいで、投げられる飴にかすりもしないなんてことも…。
　またパレード界隈は非常に混雑しているので、小さい子どもがいる家庭ではなかなか楽しみにくいですよね…。

　一方、郊外や各村で行われるカバルガータでは、大都市のそれと比べると衣装や装備のレベルは落ちますが、なにせ山車との距離が近いので、ばらまかれる飴をたくさんとることができます。もちろん、子どもも大人も大きな袋を持参して参加！

　私も毎年子どもたちにひっぱられながら夕方5時から始まる地区のカバルガータに行き、パレードの後に振る舞われるチョコラーテ（チョコレートドリンク）と菓子パンのエンサイマーダを頂いちゃいます。近所の住民だけが参加する小規模なもので、馬3匹に三賢人の誰か1人だけがいるという非常にささやかなパレード……というよりは行列ながら、なにせ距離が近いので、スーパーの袋1杯分の飴や小さなおもちゃをゲットできちゃいます。

　飴をつかめないくらい小さい子どもには山車から体を乗り出して袋に大量の飴やおもちゃを入れてくれたりも！えっ、小さい子どもに飴なんて入れてほしくない？確かに…いや、ここはスペインですから！

　その後、夜は市町村のカバルガータを見に行くのが通例です。市町村にもよりますが、事前に申し込んでおけば山車に乗せてくれるところもあります。市町村のカバルガータが終わったら、子どもたち1人ひとりに三賢者からのプレゼントが贈呈されます。


　子どもたちは事前に家に郵送されてきたチケットと交換してもらう形で年齢別に用意されたプレゼントを受け取ります。わが家が所属する市町村では、3歳から8歳の子ども一人当たりにつき10ユーロ近くの商品が渡されます。
　
　スペインが経済不況だなんて嘘のような手厚い振る舞いにかえってびっくり！

　プレゼント受け取りの際には、舞台にメルキオール、バルタザール、カスパールが並んでいて、子どもが好きな賢者からプレゼントを受け取り写真撮影をしてお終い！

　賢人たちは「一年間いい子にしていたかい？これからもパパとママの言うことをよく聞くんだよ」といった保護者が喜ぶようなことを子どもに吹きこんでくれます。

　5日の晩は家に帰って子どもたちは靴を置き、眠りにつきます。翌日、第2のクリスマスともいえるたくさんの贈り物を楽しみに目を覚まし、家族と一緒に主要な祝日レジェス・マゴスの日（主顕節）をお祝いします。

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