在校生の保護者対象 学校日開催
2016.10.14 up
会場の様子
8月29日に新学期が始まり、1ヶ月あまり経過しました。
台北市内の高校では、9月の第3、4週の土曜日午前に、生徒の保護者を対象とした「学校日」というものを開催します。「学校日」とは、生徒の保護者を対象に学校を開放し、主に学校の活動と近況報告を行うだけでなく、保護者の子が通うクラスの担任の先生たちと交流を目的とした活動です。
今回は、台北市立第一女子高級中學(以下、北一女)の様子を見てきましたので、紹介いたします。
楊世瑞(ヤン・シールイ)校長のあいさつ
北一女の「学校日」は、8:30から始まり、最初は楊世瑞校長の15分程度の近況報告でした。
近況報告は、学校のホームページで公布されるだけでなく、当日保護者に配られるハンドブックに記載されているので、大部分が省略されましたが、気になったものが一つありました。
それは、北一女と並び、台湾では高い評価を受けている男子校の台北市立建國高級中學(以下、建國中學)が、科學班(クーシュエバン)という理数系の能力向上を目的としたクラスで、早ければ来年度から女子生徒の受け入れを行うということに触れていたこと。
この背景にあるのは、科學班を設けている建國中學以外の学校のクラス構成が男女混成になっていることと、少子化の影響。
今の台湾では、純粋な男子校は、建國中學の他では台北市立成功高級中學のみ。前出の2校同様、日本統治時代からの学校で、開校当初から男子校だった高雄市立高雄高級中學(以下、高雄中學)では、音楽科、体育科、科學班の開設に合わせ、その3学科では女子生徒も受け入れ、実質男女共学の状態にあります。高雄中學の事例は他の学校でもあるので、前出の2校がいかに特別な存在であるかが伺えます。
建國中學がこうした方針を打ち出したのは、未来の学校運営に関する危機感を持っているからだと思われます。しかし、少子化が進み、設置するクラスが少なくなっていく中で(注:北一女では今の3年生の代から1クラス減少し、各学年共24クラスになっています)、優秀な女子生徒が自校に進学せず、本来なら男子校である他校へ進学してしまうのは、北一女にとっても大きな痛手となります。
楊校長がこの日のあいさつで触れたのは、建國中學同様の危機感の表れと言えます。同時に、一人でも多くの優秀な生徒に進学してもらえるよう、保護者に科學班の設置と認可獲得の際の理解を求めました。
学校の英語の略称・「TFG(Taipei First Girl High Schoolの略)」をつくるマーチングバンド部
楊世瑞校長の後、PTA会長のスピーチがあり、その後すぐマーチングバンド部、フラッグチーム、儀仗隊のパフォーマンスが披露されました。この日は、新チームが結成されて初めての披露の場ということで、生徒たちには緊張感が漂っていただけでなく、私の撮影位置の3階席には、引退した3年生と見られる生徒が集まり、その様子を見守っていました。
聞いた話では、夏休みは学校内の工事で校庭が使えず、台北市内の練習場を転々としたそうですが、それを感じさせないくらいのパフォーマンスを保護者に見せてくれました。
各クラスでの活動の視察
パフォーマンス終了後、保護者は我が子が勉学に励む教室に行き、クラス毎の保護者代表を決め、担任の先生と教科担当の先生たちとの交流を行います。台湾の高校では、日本の保護者会のようなものを行っていないようで、このような場が先生との意見交換を行える交流の機会になっているようです。
しばらくして、楊世瑞校長をはじめとする学校の運営部門を担当する部門長の先生たちとPTA会長が各教室の視察に訪れました。楊校長らは先生たちだけでなく、受付を担当している生徒たちにも積極的に声をかけ、時間をかけて話を聞いていました。
余談ですが、一部教室では黒板に日本語の書き込みがあり、改めて日本語の教育熱が高いことが伺えました。
昨年の学園祭の記念品を販売中
学校の広場では、新しい生徒代表の班聯會が昨年の学園祭の念品を販売していました。校内で出張販売も行っていて、反応は良好だったようです。
このほか、PTAも、生徒たちの教育活動への資金を募るために、記念品を販売していて、私のところにも「これ、よかったらどう?」という感じで声をかけられました。私が、財布の中を見ながら「大丈夫かな~」という様子を見せると、「(校舎の)中に郵便局のATMがあるから、そこで(お金を)おろしてくればいいから(笑)」と一言。
この商魂のたくましさには、いつもタジタジです。
学校を後にする前、卒業生の進学先が貼り出されている掲示板の前に多くの保護者が集まっているところを見かけました。その保護者の表情は、興味本位で眺めていただけかもしれませんが、我が子の未来を、思い描いているように見えました。
生徒たちと保護者の未来が明るいものであることを祈ります。
レポーター「小川 聖市」の最近の記事
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