ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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サンパウロ市の東洋街のメイン通り(ガゥボン・ブエノ通り)

サンパウロ市の東洋街のメイン通り(ガゥボン・ブエノ通り)

 中国の世界経済戦略はブラジルへも影響し始めた。日本人がつくったサンパウロ市の東洋街や、中国人が多い雑貨問屋通りは中華街になってしまうのだろうか。


サンパウロ市の東洋街のメイン通り(ガゥボン・ブエノ通り)

サンパウロ市の東洋街のメイン通り(ガゥボン・ブエノ通り)

 今世紀初頭、同街近くに大型中国料理店が出現した。その後、同地区に飯店が次々に誕生し、時計、装飾品、眼鏡などを扱う雑貨店も含めると約30店舗。近年、メイン道路では日本の七夕まつりに対抗してか、ドラが鳴り響く中国のお祭りも催されている。日本人特有の謙虚、寛容、実直、勤勉の文化は、移民の努力でブラジル社会に認識された。今後は危機感を持って日本と日系社会のさらなる連携が焦眉の急だ。


サンパウロ市内中心部の「3月25日通り」付近

サンパウロ市内中心部の「3月25日通り」付近

 市中心部の雑貨問屋が並ぶ『3月25日通り』。安価な玩具や生活必需品を販売する中国人経営の店が5年ほどの間に急増した。模造品や偽物商品が堂々と販売されている実情をテレビ「グロボ」がニュースで取り上げた。警察が「店は商品輸入許可や正式登録が必要。怠れば強制閉鎖する」と補導した。数日後、従わない違反者の店は閉められた。しかし、1~2カ月後にはまた別の場所に店を開けるだろう。


 一方、8月末にブラジルのテメル大統領が中国を訪問。政府系企業民営化への投資を習近平主席に頼み込み、空港・港湾、ダム、鉄道、道路整備などへの14項目の総額約2兆円の投資決定を取り付けた。国内の識者からは「中国の狙いは最終的に農業にある」「騙されるな」の声が聞かれる。ブラジルは世界トップクラスの農産物輸出国だ。「M&A(企業合併や買収)では米国を抜き、トップに立った」(当地有力新聞)。


 カネと軍事力で勢力を伸ばす中国。ブラジルには10万人超の中国人が住むとのデータがある。日本国籍所有者は5万人ほど。すでに逆転しているようだ。ブラジル日本移民110年の歴史の中で築き上げた日本文化が、埋没しないよう願いたい。


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