日本の｢サザエさん｣のような存在で、ブラジルに暮らす人なら誰でも知っている国民的漫画『モニカとなかまたち（Turma da Mônica）』。

　作者のマウリシオ・デ・ソウザさん（81歳）はサンパウロ市近郊のサンタ・イザベル市生まれで、日本人移民とその子孫が今も多く暮らす隣町のモジ・ダス・クルーゼス市で多感な時期を過ごし、幼少のころから日本を身近に感じて成長しました。サンパウロ市に出て本格的に漫画家、実業家としてデビューしてからは日本に渡り、敬慕する故・手塚治虫氏とも親交があり、日本のこと、日本とブラジルの両国間関係には人一番思い入れがあります。

　そんなマウリシオさんが昨年、日本の毎日新聞（2016/11/16付け）の全国紙で、滋賀県湖南市日枝（ひえ）中学校の青木義道教諭が「外国人保護者に役立つスタンプを考案」し、在日ブラジル人生徒や保護者とのコミュニケーションで試行錯誤する全国の教師たちから「欲しい」の声が大きくあがったというニュースを知りました。
http://mainichi.jp/articles/20161116/ddm/008/070/106000c

　「日本でがんばるみなさんを応援したい！」
とすぐに直感したマウリシオさん。サンパウロで経営する会社（マウリシオ・デ・ソウザ・プロダクション）は日系人や日本人が多く働いており、日本とのパイプも強いことから、有志がすぐに動き始め、先生方が使用する学習用スタンプを作製し、1月17日にマウリシオ・デ・ソウザ・プロダクションから出向した社員により滋賀県湖南市教育委員会に20セットが贈られることになりました。

　今回贈られた教師向けの学習用スタンプは、日本語とポルトガル語で記された4種類。「ATENÇÃO（注目して）」 、「PARABÉNS（がんばったね）」、「 VISTO （確認済）」、「LIÇÃO「宿題」」。

　日枝中学校の青木教諭は、
「マウリシオさんからスタンプ寄贈のお話をいただき、皆で感動と感謝の気持ちでいっぱいです。湖南市は約4％が外国籍の住人で、ブラジル人は1171人と最多です。今回の学習用スタンプは、生徒や保護者の方たちに少しでもブラジルの空気を思い出してもらえ、コミュニケーションをよりスムーズにするためにも勇気づけられます」
と笑顔でコメント。

　日枝中学校では、池本忠好校長より、今回のスタンプと手引書を持ったソウザさんの大きな写真とともに、
「マウリシオ・デ・ソウザさんから皆さんに応援の意味でスタンプを学校に寄贈していただくことになりました！」という報告があり、生徒たちは驚きの表情を隠しきれませんでした。

　早速スタンプなどとともに皆で記念撮影をし、マウリシオさんへ感謝の気持ちを込めてみなで大きな声で「オブリガード（ありがとう）！！」と言われました。

　マウリシオさんからはスタンプに先駆けて、昨年（2016年）のクリスマスには漫画「モニカとなかまたち」が湖南市教育委員会に270冊が贈られていました。日枝中学校ではマウリシオさんの特別コーナーを設けて大切に活用されています。漫画もスタンプも湖南市内の数か所の教育施設にも贈られました。

　マウリシオさんは今年からサンリオ（株）の『いちご新聞』でも42年ぶりに連載をスタートさせています。
　「日本の子どもたちとも友達になれることが大きな喜び」
と語るマウリシオさん。『モニカとなかまたち』の今後の活躍にまだまだ注目です。

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