ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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『ノッサ・ジャネーラ(Nossa Janela)』に注文したパンを改札口で受け取る様子

『ノッサ・ジャネーラ(Nossa Janela)』に注文したパンを改札口で受け取る様子

 コロナ禍に入ってから、デリバリー、テイクアウトの人気が飲食業界では続いています。

 個人事業主として生計を立ててきた飲食業者は、一時は先行き不透明なビジネス環境に陥りましたが、7月頃から徐々に営業再開の規制が緩和され、それぞれが新しい日常の中で新たなビジネススタイルを模索しています。

 そんな中、デリバリーよりは経費が安く、テイクアウトほどお客さんに移動の手間はかけない密かなビジネススタイルに、SNSで商品の注文を受け、メトロの改札口で受け渡すという方法があります。今、メトロの改札口付近では、改札口越しに友達との荷物の受け渡し感覚で商品を受け取る風景を時々見かけることがあります。


『ノッサ・ジャネーラ』がお届けするパン。袋には手書きで「グラシアス(ありがとう)」の文字が書かれている

『ノッサ・ジャネーラ』がお届けするパン。袋には手書きで「グラシアス(ありがとう)」の文字が書かれている

 メトロの改札口で受け渡すスタイルで料理を届けている飲食店の一つが、ベネズエラ料理のケータリングサービスやイベントでの販売を行う『ノッサ・ジャネーラ(Nossa Janela)』(Facebook,Instagramあり)です。

 不安定な社会情勢を逃れてブラジルに移住したベネズエラ出身のカルロス・エスカローナさんとマリフェル・ヴァルガスさんが2年ほど前から手探りで店を営業しています。

 『ノッサ・ジャネーラ』が販売するベネズエラ料理を代表するアレッパス(トウモロコシの粉で作る生地で肉や野菜をサンドイッチした料理)やテケーニャは、いつもイベントへの出店では完売してきました。講師として文化施設等でベネズエラ料理教室を開催してきたこともありました。


『ノッサ・ジャネーラ』のベネズエラ料理を代表するアレッパス

『ノッサ・ジャネーラ』のベネズエラ料理を代表するアレッパス

 コロナ禍となってからはイベントは無くなり、一時はどうしてよいか分からない状況になりましたが、前向きな2人は、弁当作りを請け負ったり、これまで通り注文制でケータリングを行ったり、難局を乗り切ってきました。

 さらに以前からナチュラルフードにもこだわっており、その延長線上でパン作りにも力を入れるようになりました。

 カルロスさんが作るパンは4種類。黒か緑のオリーブパン、パルメザンチーズのパン、ゴマのパン。ほんとうにおいしく、ブラジルには少ない味で、どこのパン屋さんでも売られているタイプではありません。リピーターのお客さんも増えています。

 毎週水曜日と木曜日の朝にパンを焼きあげ、午後に注文のあったお客さんの指定するメトロの駅の改札口越しでお届けします。


『ノッサ・ジャネーラ』の黒オリーブパン

『ノッサ・ジャネーラ』の黒オリーブパン

 サンパウロ市内のメトロの切符代は料金一律です。一度乗れば下車しなければ一回分の料金で各駅を回ることができます。カルロスさんたちは改札口を下車せず、友達にパンを届ける感覚で、商品を手渡します。

 コロナ禍だからこそ思いつくにいたったと言えるビジネススタイル。自分の好きなことで小さなビジネスから堅実にこなし、コロナ禍を前向きに乗り切ろうとしているサンパウロの人々がいます。


『ノッサ・ジャネーラ』のテケーニャス

『ノッサ・ジャネーラ』のテケーニャス


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