ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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しょう油に似たトゥクピー・プレットの香りをかぐマーラさん

しょう油に似たトゥクピー・プレットの香りをかぐマーラさん

 ブラジル北部ロライマ州のインディオの食文化に由来する料理に「ダモリーダ」があります。このダモリーダを作る時に利用されるのが、トゥクピーと言われる食材です。

 「しょう油の香りに似ているでしょう?」
と、料理を紹介してくれたマーラ・アブレウさんが見せてくれたのがトゥクピー・プレットという食材で、しょう油のような色でもあります。

 トゥクピーはブラジル北部のインディオの食文化であり、マンジオカ(キャッサバ、芋の一種)から作られるドロッとした液状の食材です。マンジオカには様々な種類があり、トゥクピーが作られる種類は有毒で、そのままゆでて食べることはできません。それで、インディオは独自の製法で毒を抜いて食べられるように、昔からこのトゥクピーを作ってきました。


土鍋に盛り付けられたダモリーダとベイジュー(せんべい状の食べ物)

土鍋に盛り付けられたダモリーダとベイジュー(せんべい状の食べ物)

 ダモリーダは、アマゾン水系を中心とする南米で生息している魚を使った鍋料理です。インディオはもともと魚を食べてきた伝統があります。

 使用する魚は、アマゾン水系で獲れるタンバキやツクナレ、ピラルクなど、肉厚で脂ののった魚です。玉ねぎやトマト、香味野菜やチコリ、そして複数の唐辛子を最初に炒め、ぶつ切りにした魚を入れて、トゥクピーと一緒に水で煮込みます。最後に、ブラジル北部を代表するジャンブーという食べると舌がびりびりする葉っぱを加えて、塩で味を調えて完成です。


ダモリーダの食材

ダモリーダの食材

 ダモリーダはスープが辛いのが特徴で、現在、一般家庭で作られる時は、辛さを控えめにされることもあります。しかし、インディオはより辛い味を好んで食べてきたとのことです。

 ダモリーダを食べる時は、ブラジルの他の魚の鍋料理と同様に土鍋に盛り付けられ、お皿に取り分けてピロン(マンジオカの粉から作られる粥状の食べ物)やお米が添えられます。特に、ブラジル北部の場合は米の代わりにベイジューとも呼ばれるマンジオカの粉から作られるせんべい状の食べ物をスープに付けて食べられてきました。

 マンジオカが原料であっても、しょう油に似た香りの食材がインディオ伝来の魚料理に使われ、日本人の舌にはおいしくいただけるところに、どこか日本の文化とも近い気がしてきます。 


材料を全て加えて煮込んでいるダモリーダ

材料を全て加えて煮込んでいるダモリーダ


お皿に取り分けてピロンを添えたダモリーダ

お皿に取り分けてピロンを添えたダモリーダ


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