ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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ボアビスタ市内でベネズエラ難民のために設置されたシェルターの一つの入口

ボアビスタ市内でベネズエラ難民のために設置されたシェルターの一つの入口

 ベネズエラ人は、ベネズエラ危機による飢えや病気から逃れるため、7、8年前からブラジルをはじめとするラテンアメリカ各国に逃れる人々が増えていきました。そして、2018年にはより事態が深刻化し、さらに多くの人々がベネズエラを出ることになり、今日まで国際問題となっています。

 ブラジルでそのあおりを最も受けた州が、ベネズエラと国境を接するロライマ州でした。

 メルコスル国家間では身分証を示すだけで入国は可能なため、ブラジルでも手続きを済ませれば、就労や居住も簡単に認められます。しかし、2018年には一日1000人のベネズエラ人がロライマ州に入るという事態となり、いくら簡単に入国できると言っても、一日1000人の新たな生活者を突然受け入れる準備はありません。

 多くのベネズエラ人が難民となり、路上生活を余儀なくされました。


ボアビスタ市内のベネズエラ難民に設置されたシェルター

ボアビスタ市内のベネズエラ難民に設置されたシェルター

 ベネズエラから到着した避難民のために、2018年からは国連難民高等弁務官事務所やブラジル政府、NGOなどがより一層、支援のシステムを構築することに力を入れてきました。

 2022年現在では、ロライマ州の州都ボアビスタには10カ所ほどのアブリーゴと呼ばれる一時滞在用の居住区が設けられ、一か所に150人ほどが暮らせるシェルターが設置されています。

 その内、4カ所はベネズエラの先住民用の居住区で、他6カ所は一般のベネズエラ難民向けになっています。

 一か所のシェルターには約3~5カ月暮らすことができ、その後、ブラジル各地の就職先などへ送られることになりますが、実際には、次の行き先の目途が立たず、他の居住区との間を転々とし続けるケースも少なくないということです。

 シェルターは民間のNGOや慈善団体が運営しており、自立して生活できるようなサポートをするシステムになっています。食堂、診療所、子供の教室、図書室、駐輪場、菜園、台所、木工から縫製作業、アクセサリー制作所などが設けられています。


ベネズエラ難民の居住区内の診療所

ベネズエラ難民の居住区内の診療所

 ボアビスタの居住区から、サンパウロ市内に送られてくるベネズエラ人もいます。しかし、所持金もなく、家族や友人もおらず、就職できると思って来てみたら、実際には仕事がなく、家も借りられないようなケースも発生してきました。

 「路上生活を余儀なくされるような人々のために、ボアビスタにあるような一時的なシェルターはサンパウロでも必要です」
と、サンパウロで難民と移民を支援するNGOの代表を務めるアブドゥルバセット・ジャロールさんはいい、サンパウロでも同様にシェルターを設置する計画もあるとのことです。


シェルター内にある菜園

シェルター内にある菜園



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