ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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日本政府によって新しい畳377畳が供与されたサンベルナルド・ド・カンポ市にある柔道選手強化施設

日本政府によって新しい畳377畳が供与されたサンベルナルド・ド・カンポ市にある柔道選手強化施設

 サンパウロ市に隣接するサンベルナルド・ド・カンポス市には、昨年、サンパウロ市から移転されたオリンピック等へのブラジル代表選手を強化するスポーツ競技場があります。種目は、柔道、陸上競技、ハンドボールです。

 この施設は、以前はフォルクスワーゲン社のスポーツクラブとして利用されていましたが、同社が税金などを支払えなくなり、数年前には雑草が生え放題で、宝の持ち腐れのような状態になっていました。とても優れた施設であるため、サンパウロ州が接収し、一年前にサンベルナルド市が維持することになりました。


サンベルナルド・ド・カンポ市の柔道選手強化施設に掲げられた嘉納治五郎師の肖像

サンベルナルド・ド・カンポ市の柔道選手強化施設に掲げられた嘉納治五郎師の肖像

 この柔道ブラジル代表選手の強化施設となった競技場には、ブラジル全土から選抜された若者が住み込みで練習をしています。強化施設はパウリスタ柔道連盟が中心となって運営してきましたが、激しい稽古により、柔道畳の損耗も大きく、十分な練習を行うことができないという悩みが常にありました。

 ブラジルで日本発祥の柔道はとても人気のあるスポーツで、柔道人口約200万人と世界一を誇ります。日本人移民が直接ブラジルで柔道の普及に努めてきたことから、欧米で親しまれる柔道がよりスポーツ感覚であるのに対し、ブラジルでは「礼に始まり礼に終わる」といった、人間教育を重視した柔道が尊重されてきました。そして、多くのメダリストも輩出するようになりました。新しい柔道場にも嘉納治五郎師の肖像が飾られ、選手たちを見守っています。


サンベルナルド・ド・カンポ市にある柔道選手強化施設

サンベルナルド・ド・カンポ市にある柔道選手強化施設

 サンベルナルド市に移転された新施設には、昨年12月、日本政府の草の根文化無償資金協力によって377畳の畳が敷かれることになりました。3月15日にはその供与式がサンパウロ総領事館とブラジル政府の関係者が列席して行われました。

 ブラジル柔道の発展に尽力してきた一人であるブラジル講道館元会長の故・関根隆範会長とパウリスタ柔道連盟の会長が、2019年にブラジル選手団を率いて訪日した時、柔道畳の支援を日本政府にも依頼し、数年来の願いが実現したもです。

 現在も寄宿舎や食堂などがリフォーム中で、選手たちも施設の完成を楽しみにしています。日本から地理的に最も遠いブラジルですが、最も日本に近い柔道と親日ブラジル人たちの存在があります。


3月15日の畳供与式

3月15日の畳供与式


畳供与式で披露された講道館護身術の型

畳供与式で披露された講道館護身術の型


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