ぜい弱な移民コミュニティの代表者会議
2022.04.29 up
市民権統合センターの入口
今、話題となっているウクライナからの難民、そして今も続くベネズエラからの難民、2011年に始まったシリア戦争の後にはシリアからこれまで600万人以上と言われる国外への難民がニュースになってきました。
海外に移動することを余儀なくされた難民は、母国へ戻る見込みがなければ、新しい国に暮らし続けることを余儀なくされます。そして、難民として暮らし始め、やがて移民という立場になり、時には新しい国に帰化することになります。
そのような難民と移民は世界規模で解決するべき課題であり、移民で発展してきたブラジルは、海外から渡ってきた人の受け入れには寛容です。しかし、新しく来た移民の仕事や住居といった基本的な生活に関する保証は実質的になく、その問題解決は社会全体で解決しなければならず、常に難しい状況です。
市民権統合センターで開催された入国管理局の代表による報告会
移民の統合に関するサンパウロ市の機関の一つが、市民権統合センター(Centro de Integração da Cidadania ー CIC)で、世界各国の社会情勢の悪さからブラジルに来て、ブラジルでも社会的に脆弱である難民や移民の書類手続きや基本食料の緊急支援などを行っています。
4月26日、同センターは、初めて入国管理局(DELEMIG)の代表による報告会をサンパウロ市内の移民や難民に関するNGOの代表を招いて実施しました。パンデミック下でより深刻化した難民や移民の状況に配慮したことや、国連の提示したSDGs(持続可能な開発目標)に向けた一歩でもあります。報告会には国連難民高等弁務官サンパウロ事務所やIOM(国際移住機関)の代表なども参加し、主にパンデミックに入ってからの入管の対応について発表がありました。
約25のNGOの代表が参加し、コンゴ民主共和国やアンゴラ、ペルー、ボリビアなど、国でまとまったNGOの他、国籍や人種、民族を問わず、移民や難民を支援するNGOや移民の女性や子供の問題解決に取り組むNGOから代表が招かれました。
市民権統合センターの受付窓口
パンデミック以前から、社会的に脆弱な移民は、まず初めにブラジル連邦警察での手続きで困難にぶつかってきました。言語の違い、社会システムの違い、情報やインターネットの使用環境の不足などから、来て早々、合法的に暮らすチャンスを逸することもあります。
そのような問題を解決するために多くのNGOも立ち上げれてきました。入国管理局への質疑応答では、「ブラジルに来て2年以降は、住所証明がなければ手続きを進めることができないが、家賃が払えず、正式な居住地を定めることができないケースにも応対してほしい」 「入国管理局でも移民出身の職員が必要だ」などの声があげられました。
国際的に難民を支援している日本ほか主要な国々が記されたパネル
移民という立場で様々な困難を分かち合えるNGOの代表者たちが緩やかにつながり、入国管理局の代表と直接話し合いの機会を持てる場が設けられたことは、移民の統合問題の解決に向けた小さな一歩ともいえます。
市民権統合センターの受付には、ブラジルを筆頭に国際的に難民を支援している日本ほか主要な国々が記されたパネルも飾られています。日本もブラジルの難民問題に支援していることは一部で知られていますが、資金援助が中心で、人による支援の印象が薄いことや日本本国が難民をほとんど受け入れないことが有名で、ブラジルでの日本の印象は良いものの、「閉鎖的な日本」というネガティブな評価が一般に下されているのも否めません。
市民権統合センターの入口
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