難民と移民への理解を深める多国籍文化イベント
2022.06.17 up
大人と子どもでダンスを披露するコンゴ民主共和国の女性
6月20日は世界難民デーです。世界各国から移民が到着し、国を発展させてきたブラジルでは、移民や難民に対して今も行政機関や民間団体は決して無関心ではありません。
今月は世界難民デーに合わせて、現代の様々な難民や移民の出身国に関連する多国籍の人々のイベントが、小規模ながら各所で実施されています。6月5日には、サンパウロ市内の文化遺産に指定しているカステリーニョ・デ・ブリガデイロで、シリア、パレスチナ、アンゴラ、コンゴ民主共和国、スーダン、ベネズエラ、インド出身の人々が参加するイベントが開催され、衣料や雑貨、音楽やダンスのショーが実施されていました。
手作りのお菓子を販売するベネズエラ人
ブラジルが現在の難民と呼ばれる人々に注目するのには、一つの理由があります。
ブラジルでは以前、恩赦法があり、法発布から180日以内に必要書類をそろえて連邦警察で手続きすると、2年間有効の暫定登録が与えられ、その後一定の条件を満たせば永住ビザに切り替えることができました。最後の恩赦が出たのは2009年でした。
しかし、2017年に認可された新移民法では、恩赦という制度がなくなり、実質的に「難民」と認定された外国人にしか、永住権が与えられない状態になっています。
手にペインティングをするスーダン人の女性
移民と難民では、本来はその背景にある事情は大きく異なります。移民は自分の意思で他国へ移住することができますが、難民は移住したかったわけではなく、命の危機が迫り、何の計画もなく移住を余儀なくされた人々です。
しかし、近年は、様々な国から様々な理由でブラジルでの居住を望む人々が、まずは難民申請をしている現実があります。移民も難民も大差なく受け入れ手続きが行われています。
難民に認定される可能性のある出身国の人々は、難民申請すればたいていプロトコール(申請受付証明書)が発行され、合法的に居住できて就労も可能ですが、認定は出身国や個人の状況が考慮されます。早ければ1年ほどで認定されますが、難民に認定されるのは、行政機関が各国の状況などを調査し、より深刻な人々の場合であるため、数年待っても認定されないケースもあります。
アンゴラ人の美容師とアフリカの生地で作った服を販売するコンゴ人の女性
移民、難民など、呼び方が異なっても、海外から来た人々を露骨に排除することなく、自然に共生している雰囲気のあるブラジル。郷里を離れてゼロから海外で生活するのは大変なことですが、多国籍の人々が日々の生活の中に新しくもたらす文化が、今も昔もサンパウロの町に彩を添えていきます。
アラブ料理を販売するシリア人
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