お茶で栄えた町のオーガニックお茶園、観光農園で再び注目集まる
2024.01.20 up
パンデミックの間は巣ごもり消費が増えて、ブラジルでも自宅で楽しめるコーヒーやお茶の消費が伸び、その購入方法もインターネットによるものが増加しました。そんな追い風を受けて、近年はさらに注目を集めるようになったお茶園がブラジルにはあります。サンパウロ州レジストロ市にある嶋田農園(シッチオ・ヤマダ)です。
嶋田農園の顔である嶋田ウメさん(96歳、サンパウロ州レジストロ市生)は、2014年から自らの農園で摘んだ茶葉を自宅工場でお茶にして、「おばあちゃんのお茶」として生産・販売してきました。2019年には「シッチオ・ヤマダ」のブランドに改めて、日本の茶職人から直伝された製法で、手摘みの白茶、紅茶、緑茶の3種類のオーガニックティーを生産しています。
そのおいしさは口コミで広がり、昨年は同園の茶葉を利用したブレンドティーがブラジルティー協会(ABChá)で入賞したほどで、パンデミック以降はお茶の健康効果も注目され、ネット販売での消費も大きく伸びました。
パンデミックの外出自粛の規制が緩み始めると、空間のある嶋田農園は新型コロナの感染が避け易いということで、観光スポットとしても注目されるようになりました。ブラジルでも近年は体験型の観光が人気で、嶋田農園では茶摘みの季節(9月~5月)に茶摘みとお茶づくり体験ツアーを実施し、新芽のみをお茶にする高級品の白茶も来客自らが摘んで、新鮮なお茶を専用茶屋で試飲することもできるようにしています。
レジストロ市では、1950年代から1990年にかけて紅茶用の茶葉の生産が同地に入植した日本人移民によって盛んに行われていました。最盛期には45軒ほどの茶工場や茶畑が同地にありましたが、海外への輸出に依存していたことから、90年代のブラジル政府の混乱や新通貨レアルの導入により国際相場で大きな影響を受けて、大半が閉鎖を余儀なくされました。
嶋田農園のウメさんは、「同地のお茶栽培を絶やしてはいけない」と、小規模ながら生産を続けて茶工場に販売していましたが、茶工場が購入できなくなったため、生産から販売まで家族で行うようになりました。ESGビジネスが盛んになる中で、嶋田農園はその潮流の中にもあり、レジストロ観光の名所としても人気スポットになっています。
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