100%国産のエコな電気バスが身近になり始めたサンパウロ市内
2024.12.04 up
サンパウロ市内を走る電気バス
サンパウロ市では、年末に向けて電気バスの走行を目にする機会がさらに増えました。同市が2024年12月までに2,600台の電気バスを導入するとしていた計画の一環の表れを感じます。
バスには「100%電動」や「100%ブラジル産の電気バス」と強調した表記が目につき、ブラジルの環境に優しい電気バスへの自信をのぞかせます。以前のバスに比べて揺れも少なく音も静か、冷暖房も完備されています。
ブラジルはバス本体も国産で製造できる上、カーボンニュートラルに向けたバイオマス燃料も豊富で、脱炭素による発電も世界で先端を行くことのできる条件がそろっています。
100%電気バスと表示されたサンパウロ市内を走る電気バス
2023年9月、リカルド・ヌネス市長は、昨年末までに600台の電気バスが運行を開始すると発表していました。しかし、インフラ整備の遅れが課題となって、車庫内の充電施設や地域電力網が多数のバスの同時充電に対応できていなかったため、計画の進展が滞っていました。
状況は確実に進展し、今年5月には、電気バスの数が149台から171台に増加し、目標達成率は6.57%に向上しました。その後、6月末までに49台が追加される予定となり、毎月、製造会社の生産能力に応じて、予定の台数を目指して電気バスの数を増やしてきました。
「100%ブラジル産の電気バス」と表記されたサンパウロ市内を走る電気バス
5月時点では171台の電気バスの他に、数十年続いてきたトロリーバスも201台運行していました。サンパウロ市は電気バスは、使用する燃料も100%国産ということを含めて、世界にも誇れるものです。
一方で、サンパウロ市が国内最多の電気バスを保有しているものの、インフラの遅れにより他都市との展開競争が進んでいない状況で、ブラジル全体として電気バスが普及しているとは決して言えません。
今年5月にルーラ大統領も「成長加速プログラム(PAC)」を通じて、5,000台以上の新型バスに10億レアル(約2,200億円)の資金を提供する方針を発表するなど、少しずつですが、確実に環境に優しいバスが身近になっていくことが予想されます。
サンパウロ市内を走る電気バス
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