牛肉生産国でありながら牛肉が庶民層には高値になっているパラグアイやブラジル
2024.08.23 up
パラグアイのスーパーマーケットで販売されている牛肉のピカーニャ(ランプキャップ)
ブラジルの隣国パラグアイの主要産業で主要輸出品目の一つが牛肉です。ブラジルも近年は世界第一の牛肉輸出国で世界第2位の牛肉生産国にランクインしています。
ブラジルの都市部のスーパーマーケットにも鶏肉や豚肉と並んで様々な牛肉部位のカット肉が販売されていますが、パラグアイの首都アスンシオンの市街地にあるスーパーマーケットでも鶏肉や豚肉に勝とも劣らぬ様子で圧倒的な存在感で牛肉が販売されているのが特徴的です。
パラグアイのアスンシオンの市街地のスーパーマーケットで牛肉が売り場面積を多く占める食肉売り場の一部
パラグアイの国土はブラジルと比べると約21分の1、日本の約1.1倍の約40.7万平方キロメートルです。その中で、パラグアイとブラジルの2023年の牛肉生産量は、それぞれ550,000トン:8,910,000トン、輸出量は445,000トン:2,290,000トンとなっており、パラグアイでは約81%、ブラジルでは約26%が輸出用となっています。(パラグアイは米国農務省、ブラジルは同国地理統計院の暫定データより)
パラグアイは世界の主要牛肉生産国の中でも最も価格が安いというデータもあり、2024年4月の世界80カ国の牛肉価格ランキングでは76位、と68位のブラジルを下回っています。
ブラジルはパラグアイ産牛肉の主な輸出先の一つでもあり、高品質な上、安いパラグアイ産の高級部位をブラジルに輸入して、サンパウロの肉売り場でも販売されています。実際、部位別に真空パックされた冷蔵牛肉が、ブラジル産牛肉と同程度の価格です。しかし、店頭の販売員でさえ、ブラジル産かパラグアイ産かを分からずに販売していることもあります。
サンパウロ市内で販売されているパラグアイ産の牛肉(パッケージの赤白青の国旗の色で判別できる)
サンパウロとパラグアイの首都アスンシオン間は飛行機で1時間45分ほどで、場所によってはブラジル国内を移動するよりも近く感じます。メルコスール(南米南部共同市場/アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアが正加盟)の食肉業者にとって、パラグアイ産の牛肉はブラジルの他州で生産されている牛肉という感覚もありそうなのもうなずけます。
パラグアイのアスンシオン市内のスーパーの牛肉売り場
2011年以降、パラグアイ国内の牛肉消費量は輸出量が上昇しているのに反し、停滞か減少しているデータもあります。それはブラジルも同様で、特に中国をはじめとする外国への輸出の増加で、世界的な牛肉価格が上昇し、国内価格も値上がりしたことに起因します。
パラグアイからは中国への輸出は見られませんが、ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイといった牛肉生産国は、海外への輸出が過去10年で積極的に行われてきて、隣国のパラグアイでもその価格が影響を受けてきました。
ブラジルもパラグアイも牛肉生産国でありながら、同地の国民にとって特においしい牛肉部位は高値となり、庶民層には贅沢品の様相を呈している昨今です。
パラグアイでは人気の牛肉部位コステーラ
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