デジタル化で融通利かず、時の運でパラグアイへの航空賃二重払いも
2024.08.28 up
ブラジルで黄熱病ワクチンを接種した人への国際証明書
ブラジルでは、コロナ禍で新型コロナウイルスのワクチン接種を簡単に証明できるように、国の保健省のサイトで登録できるシステムが確立されました。現役世代は誰もがスマホを持ち歩く時代で、外出先でも紙の証明書を忘れる心配もなく、便利になったと言えます。
そのシステムは、コロナウイルスのワクチン接種にとどまらず、他のワクチン接種についても2022年から簡単に登録できるようになりました。ところが、その新しい便利なはずのシステムの情報は、新型コロナウイルスのワクチン接種以外に関しては広くいきわたっていないために、思わぬトラブルに遭遇しかねない場面も頻発してきました。
ブラジルでは、熱帯地域以外に暮らす人々に比べて既に多くの人が黄熱病ワクチンを接種していますが、国際間の移動時には、旧来はブラジル国内で接種した時に保健省から発行された証明書だけで隣国パラグアイなどへ渡航できていたのが、2022年から保健省が発行する「国際証明書」を持っていなければ搭乗させてもらえなくなりました。
ブラジルで黄熱病ワクチンを接種した人への国内での移動には通用する証明書
航空会社が記載している搭乗時の説明をよく読めば、国籍別に必要書類が記され、パスポートやビザと並んでブラジル政府発行の黄熱病の「国際証明書」が必要と書かれています。しかし、うっかり読み忘れているブラジル在住者は後を絶たず、搭乗直前に航空会社の職員に指摘され、いつもその場で急遽登録する人が複数名は発生してきました。
ブラジル国内の移動でも、アマゾン地域などへは黄熱病ワクチンの接種が必要で、国民もその意識は高く、移動の際にはブラジル保健省が発行した黄熱病ワクチンの接種証明書を持ち歩くのは普通の事でした。ブラジル国内では今もその証明書だけで通用します。
このブラジル国内だけでしか通用しなくなった証明書で、以前はパラグアイなど他の南米にも渡航できましたが、2022年から規則が変わり、新型コロナのワクチン接種登録と同じように、黄熱病のワクチン接種も保健省のサイトからオンラインで登録して、既に登録されている情報と照合して、ブラジル政府発行の国際証明書が発行されるようになりました。
現在はこの証明書が、ブラジルで黄熱病ワクチンを接種した人には、渡航先国によっては必要です。
ブラジルで黄熱病ワクチンを接種した人は政府発行の国際証明書が必要になったパラグアイのアスンシオン行の搭乗ゲート
ブラジルの国際空港で搭乗直前になって国際証明書を見せるように言われ、ブラジル国内でのみ通用する証明書しか持っておらず、搭乗させてもらえないケースが2022年以来見かけられるようになりました。
搭乗直前に緊急にブラジル政府のサイトで登録すれば、早ければ30分、遅くても1日で国際証明書はオンラインで取得できるので、搭乗前に登録をしたことだけ示せば承認されていなくてもぎりぎりセーフで搭乗させてもらえるケースがほとんどです。
しかし、職員の応対によって、全員が搭乗し終わるまで説明もしてもらえず、「無料で再予約できる」と言われて搭乗口を占められ、実際には、規則を守っていなかったペナルティ料金ということで、最初に購入した航空運賃と同じくらいの金額で購入しなければならないケースも出ています。
デジタル化は便利なようで、きちんと情報がいきわたらなければ理不尽な状況に遭遇することもあります。通常、日本から南米に来る場合で黄熱病のワクチンが必要な場合は、日本で発行される証明書自体が国際証明書しかありません。しかし、ブラジルでは黄熱病ワクチンが珍しくないだけに、デジタル化による規則の変更で、思わぬ損害を生じやすくなっているというのはブラジルならではです。
グアルーリョス国際空港内にあるラタン航空の店
グアルーリョス国際空港の搭乗ゲートで待つ人々
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