ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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「日本の味をそのまま」にこだわるサンパウロの日本食レストラン「アゲカズ」のイワシ定食

「日本の味をそのまま」にこだわるサンパウロの日本食レストラン「アゲカズ」のイワシ定食

 インバウンドで日本を訪れる外国人が増えるにつれ、日本の味もより広く、そして深く知られる時代となっています。

 この15年ほどの間に、ブラジルにもラーメンを代表とする現代の新たな日本食ブームが到来しました。それと同時に、近年では「日本の味をそのまま楽しむ」というコンセプトのもと、高級料理店に限らず、庶民的な日本食レストランでも日本本国の味にこだわる店が増えています。日本食レストランが多く集まるサンパウロだけでなく、日本人移民の存在感が高いパラナ州や、日本を訪れたことのある外国人が多く住む首都ブラジリアなどでも、「日本そのままの味」を提供するレストランが人気を集めています。


サンパウロ郊外のモジダスクルーゼス市で日本の製法の天然醸造しょう油を使用した『MNラーメン』のしょう油ラーメン

サンパウロ郊外のモジダスクルーゼス市で日本の製法の天然醸造しょう油を使用した『MNラーメン』のしょう油ラーメン

 かつて、1908年に日本人移民が公式にブラジルへ到着した当初は、日本と同じ食材がほとんど手に入らない環境でした。そのため、移民たちは日本の味を求め、自らの手で食材を生産し、しょう油や味噌などの調味料を工夫しながら、ブラジル独自の日本食文化を築いてきました。こうした先人たちの努力によって、日本食はブラジルの人々に知られるようになり、「ホットロール(サーモンの細巻き寿司に衣をつけて揚げたもの)」などのような、新たなオリジナルメニューも誕生しました。

 しかし、日本本国の味を覚えている人にとっては、外国にいても「日本そのままの味」が懐かしく、癒されるひとときとなります。さらに、日本人だけでなく、日本で生活をしたり旅行をしたことのあるブラジル人や外国人の中にも、日本の本場の味を求める人が増えています。


サンパウロ近郊のバルエリ市内の日本食レストラン『くら』の日本オリジナルレシピのカレー

サンパウロ近郊のバルエリ市内の日本食レストラン『くら』の日本オリジナルレシピのカレー

 こうした時代の流れを受け、近年オープンする日本食レストランの多くは、味の決め手となるしょう油をはじめ、カレーなどの料理でも日本の風味にこだわり、輸入食材を使用するケースが増えています。

 かつてはブラジル産と日本産のしょう油の風味に違いがありましたが、昨年には、ブラジルの有力紙エスタード紙のグルメセクション「パラダール」の実施したブラジルで市販されるしょう油のテイスティング審査で、サンパウロ郊外のモジダスクルーゼス市に本社を置くMNプロポリス社により日本の製法で天然醸造して製造・販売される有機しょう油が、金賞を受賞しています。

 また、最近では自動券売機を導入するレストランも見られるようになり、サンパウロをはじめとする各地で、より日本らしさを感じられる日本食レストランが増加しています。

 このように、日本人だけでなく、日本人以外の人々にも「日本の味をそのまま楽しみたい」というニーズが高まる中、ブラジルの日本食文化もさらなる進化を遂げていくと思われます。


サンパウロ近郊のバルエリ市内の日本食レストラン『くら』に設置された券売機

サンパウロ近郊のバルエリ市内の日本食レストラン『くら』に設置された券売機


ブラジルの「すき家」の牛丼

ブラジルの「すき家」の牛丼


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