自己管理の難しさを痛感 生徒主導の模擬国連 その3
2017.05.04 up
社交ダンスのお手本を見せる國立台湾師団大學附属高級中學(以下、師大附中)模擬国連クラブの生徒たち
パーティが進み、余興などの時間に入りますが、目玉ともいうべきものが、この社交ダンス。お手本を示す生徒たちも、練習を重ねてきたようで、見事なものでした。
こうしたシーンも
ダンス中、上の写真のようなシーンもありましたが、私の時代なら、生徒指導の先生から「早くやめなさい! (あなたたちの年代の)男女間の距離は30センチでしょ!」なんて声が聞こえてきそうな気がしました。これも「時代の変化」というものなのでしょうか。
参加者各自でダンス
その後、参加者各自でダンスを行いますが、照れや恥じらいといったものがあってか、男女で組む人は少なく、男同士、女同士で行っている様子が多く見られました。
ダンス部のパフォーマンス
ダンス部のパフォーマンスや、模擬国連部の部員がダンスを披露し、参加者が一体になってダンスをした後、パーティーはお開きとなりました。
みなさま、ありがとうございました
最終日は、午前、午後と会議を行い、15:30から閉会式を行いました。閉会式では、各会議で議事の進行に大きく貢献した代表が表彰され、3日間を振り返る写真と、主催した部員によるあいさつと記念撮影で幕を閉じました。
私自身、3日間密着してその様子を見ていましたが、一番感じたのは題字にもある「自己管理の難しさ」でした。全日程、生徒たちだけで運営されましたが、先生の信頼を得るには徹底した「自己管理能力」が求められるように思います。管理者同士で厳しく管理し合い、状況に応じて厳しく叱責できる雰囲気がなければ、こうしたイベントの運営は難しいのではないかと思い、見ていました。
しかし、現場で見たのは、残念ながら厳しい自己管理を行っているとは言い難く、ややヌルい空気が漂った光景でした。
例えば、会議の進行をサポートする「page」と呼ばれるスタッフが全員下を向きスマートフォンをいじったり話をしたりしていて、参加者や議長が出したメモに気づかず、私が先に気づき、彼らに呼び掛けるということが多々ありました。こうしたことは、休憩時にスタッフ同士で役割や分担を確認し合ったり、全日程終了後のミーティングで指示の徹底を図ると思うのですが、見ている限りその様子はなく、同じことを何度も繰り返している感じでした。
また、会場になった学校の教室は、原則飲食禁止ですが、初日にジュースをこぼして掃除しているところを見かけました。その後、3日目の午前の会議でも別の会場で同じところを見掛けました。その後、議長が「飲み物の持ち込みは水だけでお願いします」と呼びかけ、解決しましたが、初日に起きたことをミーティングで共有し、指示を徹底できていれば、同じことは繰り返さなかったように思います。
この模擬国連には、台湾だけでなく世界でも名前が知られている社会奉仕団体が日本人を含む5人の外国人学生を派遣していました。しかし、指導の先生がついていなかったため、開会式後、この5人はそのまま放り出された状態になり、会議でも積極的に参加している様子はなく、3日間を通して仲間同士で固まって行動することが多く、自分たちに声をかけてきた他の参加者と少し交流して終わった、という感じでした。
以前、台北市立第一女子高級中學の模擬国連の様子を紹介しました(下記URL参照)が、京都市立堀川高等学校の生徒たちが引率の先生から指導と助言を受けながら会議に参加し、今年2月の模擬国連で、議事進行で大きく貢献した国の代表として一人が表彰され、参加2年目で大きな成果を挙げたのとは対照的でした。
http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=2016428172756
(参考)
http://cms.edu.city.kyoto.jp/weblog/index.php?id=300605&type=2&date=20170331&category_id=10121
原因として、管理部門の模擬国連クラブの生徒たちの仕事の量と負担が多いことが挙げられます。見ている限り、一つの仕事に没頭していると全体の様子に注意を払うことができず、参加者たちや周囲の微妙な変化に全然気づかない、ということがありました。
また、全体を見渡し、おかしなところを見つけたら嫌われるのを覚悟で生徒たちを厳しく指導、叱責できる立場の管理者が不在だったのも、ヌルい雰囲気を助長していたように見えました。
ただ、自由で、生徒の自主性を尊重する師大附中の校風に慣れている生徒たちからすると、厳格な管理者が存在するのは「学校が私たちを信頼せず、必要以上に束縛している」と感じるのでしょうか。
そんなことをふと考えた、今回の模擬国連でした。
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