ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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熊本県人会で上演された劇団夢桟敷の「万華鏡」

熊本県人会で上演された劇団夢桟敷の「万華鏡」

 今年は公式の日本人移民がブラジルに到着してから110年目を迎えます。一年を通してさまざまな記念事業が企画されている中、10月6日(土)と9日(火)には、熊本県の劇団夢桟敷(ゆめさじき)が、ブラジルの「日本人移民の父」と呼ばれる熊本県出身の上塚周平(1876-1935)を軸に、初期移民の置かれた模様を描き出す「万華鏡」を上演しました。

 6日はブラジル熊本県人会創立60周年も記念してサンパウロの熊本県人会で、9日は上塚周平のゆかりの地であるサンパウロ州のプロミッソン市でプロミッソン入植100周年も記念して公演されました。


劇団夢桟敷の「万華鏡」の案内

劇団夢桟敷の「万華鏡」の案内

 今回は第1回の移民船で世話人の役も担って移民してきた上塚周平の人間像を描きながら、同船者で渡航時には1歳8カ月だった故・中川トミさんの100年の追憶の中で、初期移民のブラジルに来た動機やブラジルへの夢、そしてブラジルに来てからの苦労などがインパクトを持って演じられました。


熊本県人会で上演された劇団夢桟敷の「万華鏡」

熊本県人会で上演された劇団夢桟敷の「万華鏡」

 約1時間半の白熱の演技と音楽に、観客は居眠りする間もなく目がくぎ付け。観客の一人は「ブラジルの日系人のためだけに1時間半ものこんな立派な演劇を用意してくださったなんてもったいないですね!」とコメント。

 ブラジルに暮らしている日系人にとって、第1回の移民船が笠戸丸だったことくらいは誰もが耳にしたことぐらいはあります。また、戦前に移民してきた祖父母や親せきのさまざまな苦労話を伝え聞いていることも珍しくはありません。そういった点で、「万華鏡」はブラジルに暮らす日本人や日系人だからこそ劇団の方々と心を通わせて同じ思いで鑑賞されていました。


熊本県人会で上演された劇団夢桟敷の「万華鏡」

熊本県人会で上演された劇団夢桟敷の「万華鏡」

 熊本に拠点を置く劇団夢桟敷は、10年前にも日本人移民100周年を記念してブラジルに来られ、各地で今回とは違う劇を上演されました。その際、今回のようなブラジル移民の基本に特化した演劇を作ってもらいたいと、日系社会の方からの声があったとのこと。その思いに応える形で、今回の「万華鏡」が実現されたということです。

 「これだけの日系社会があるにもかかわらず、日本ではまだまだ日本人移民や日系人への認識や理解が薄いです」と劇団員の方は述べられました。


熊本県人会で上演された劇団夢桟敷の「万華鏡」を鑑賞する人々

熊本県人会で上演された劇団夢桟敷の「万華鏡」を鑑賞する人々

 ブラジル在住の日本人や日系人がすっかり引き込まれた見応えのある「万華鏡」。ブラジルだけでなく、本拠地の日本でも上演されれば、日本人移民の歴史に触れられるよい機会になりそうです。


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