元プロボクシング世界王者、現役首都市長の死
2009.07.17 up
中米ニカラグア首都マナグアの市長であり、元プロボクシング世界王者であったアレクシス・アルゲリョ氏が7月1日未明に亡くなりました。法医学者の見解によると銃による自殺と報道されています。
アルゲリョ氏は、1952年4月19日中米ニカラグアの首都マナグアの非常に貧しいスラム街で生まれました。その後、ボクサーとして成功しニカラグア初の世界王者になりました。1975年10月12日3度目の防衛戦では、日本人ロイヤル小林の挑戦を受け東京蔵前国技館にてWBA世界フェザー級で5回KOで防衛しています。
ひょろりとした肢体に強烈なストレートを備えた、リングの貴公子には日本でもフアンがいます。こちらニカラグアでも、彼の死に多くの国民が悲しみにくれています。新聞はいつもより販売部数を伸ばし、テレビでも追悼番組が組まれています。ロイヤル小林との防衛戦を当時日本で放送されたものがそのまま日本語で放映されていました。
独裁政権に対する革命のさなかに、世界王者なったアルゲリョ氏は帰国に際して賞金が時の政府に没収されたり、引退後もその国民的人気を利用され政治に翻弄されました。最後は、首都マナグアの市長の座につきましたが、ここ数ヶ月精神的に不安定であったことが息子によって証言されています。
私と一緒に追悼番組を見ながら、アルゲリョ氏が生まれたスラム街の近くで教員をしていた方は、「あのスラム街は首都の中でもとてもとても貧しいところなんです。アルゲリョ氏は本当に苦労して成功を収めたけれど、やっぱり大金をもってしまうと人はだめなのかもしれない。かえって、貧しかった頃のほうがのんびり暮らすことができて、幸せなのかもしれないね」と、語っていました。
参照:エル・ヌエボ・ディアリオ紙2009年7月2日
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