原生林の間にある陶芸家のアトリエ
2010.08.19 up
陶芸家中谷哲昇さんご夫妻
ブラジルには日本から移住された陶芸家が何人も暮らされています。ブラジル国内や国際的な展覧会に出展し、高く評価されている方も多くいます。
先日、サンパウロ市近郊のモジダスクルーゼス市という町を訪ねる機会がありました。その町にある日本人農家が集住するコクエイラ地区に、一人の日本人陶芸家がアトリエを構えているということで訪問することになりました。
モジダスクルーゼス市のコクエイラ地区は豊かな自然に囲まれた地域で、メインの車道から一歩中に入ると、アスファルトで舗装されていない道が続いています。土道を進んでいくと、「セラミカCERAMICA(陶器の意味)」と記された小さな看板が出ており、原生林に挟まれた坂を上りきると、ようやく人の気配を感じる一軒のアトリエが現れました。
アトリエにたどり着くまでは、民家がぽつぽつとしかない原生林の間をひたすら進んでいくという感じだったので、本当にこんな所に日本の陶芸家が暮らしているのだろうかと不安になりましたが、到着するとアトリエの主であるご夫妻が温かく迎え入れてくれました。
中谷さんのアトリエ
アトリエの主は陶芸家の中谷哲昇(あきのり)さん(67)です。中谷さんは大阪府出身で、1974年にブラジルに渡られ、1978年から現在の場所にアトリエを構えたそうです。
アトリエにある登り窯やガス釜をはじめ、家屋やガレージの柵など、生活の全ては何もない所から一つずつ自分たちの手で作り上げてきたということです。まさに人生がアーティスティックなご夫妻です。
アトリエのポルトガル語名には「アルボレ・セン・ノーミ(名のない木)」という名前があるとのことです。名前の由来は、最初に住み始めた時に、付近にある様々な木が生活に役立ったということで、それらの木の名前を調べようとしたところ、誰に聞いても名前を知らなかったため、その名前を付けることにしたそうです。
工房のほかにも小さなギャラリーがあり、実用的な工芸品も購入することができます。
日本の裏、ブラジルの原生林の合間に日本の陶芸家がひっそりと暮らされていることにはとても新鮮な驚きがありました。
中谷さんはアトリエの近くにあるサンパウロ州が重要文化財に指定している「カザロン・デ・シャー」という昔の日本人がお茶を製造した工場の建物の保護者にもなっているということです。
中谷さんのアトリエにある手作りの登り釜
中谷さんのアトリエにある手作りの登り釜
アトリエの横にあるギャラリー
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5 - Comments
sabaより:
2010 年 08 月 24 日 16:52:33
陶芸家が何人も行く、ということは、何かブラジルには陶芸に適したものがあるのでしょうか?
より:
2010 年 08 月 24 日 20:03:53
sabaさん
そうですね、人に手の加えられていない未開の地で、真に自分の道を究められる雰囲気があるという辺りが魅力かもしれません・・・
sabaより:
2010 年 08 月 25 日 09:33:46
なるほど、雑音がなくて専念できる、ということですね。
私は煩悩ばかりなので雑音がないと暮らせない・・・。
s.yoneより:
2010 年 09 月 10 日 12:07:14
中谷家に3ヶ月も居候していた日本人です。帰国してそろそろ1ヶ月になろうとしているのに、日本の歴史的猛暑で頭がボーとしているのも影響してか、ネットにご夫妻が急に現れて、夢ではないのかとびっくりしました。ご一家の人達には大変お世話になりました。懐かしい思い出がいっぱいで、大浦さん、レポートありがとうございました。中谷家へのアプローチは、わたしも最初はびっくりして「中谷スーパー林道」だなと勝手に呼んでいましたが、この悪路はご夫妻で切り開かれたとのことで、血と汗の結晶、あだやおろそかにはできないと、今度訪れるときはよく踏みしめて登りたいと思っています。
TOMOKOより:
2010 年 09 月 10 日 18:36:23
>s.yoneさん
コメント有難うございます!
すばらしい場所での居候生活でしたね。ほんと、あのような場所がサンパウロから一時間ほどで存在するとはいえ、ちょっと知らなければ一生知ることのできなさそうな・・・ブラジルはまだまだ未知な世界がいっぱいありそうですね。この前は時間がなくカザロン・ド・シャに行けなかったので、またいつか中谷さんワールドに潜入させてもらいたいと思っています。でもとても一人では行けなさそうです…
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