今日はどの国のチャンポンにする?
2012.12.26 up
サンパウロ市の韓国人街にあるレストラン「得意館」の韓国風チャンポン
日本の、特に長崎に縁ある人にとって郷愁の料理と言えるのはチャンポンではないでしょうか?
ブラジルは1500年にポルトガル人カブラルによる発見以降、インディオのみの世界に終焉を告げ、特にサンパウロ市は19世紀から世界各国の移民を祖として発展してきたため、世界の食文化に出合えるグルメの街でもあります。
サンパウロ市の台湾出身者の店「一條龍」のチャンポン
サンパウロ市内の東洋人街であるリベルダージ地区や韓国人街となっているボン・ヘチーロ地区では、日本食レストランで長崎風、台湾や韓国出身者の経営する中華料理店では台湾風や韓国風のチャンポンが食べられます。
サンパウロ市内の狭い範囲内で東アジア各国のチャンポンに出合うことができ、各国によってチャンポンという発音は使われていても、微妙に味や食感が違っています。
肉や魚介類と野菜のエキスが凝縮したスープに麺が浸かっているという基本は同じです。それでも、それぞれの店や土地柄によって、見た目や麺の触感は違います。メニューにはアルファベット表記の他に、それぞれ中国語、日本語、韓国語でチャンポンという記載を見かけることもあります。
サンパウロで見かける台湾、韓国、和風のそれぞれのチャンポンの違いを一言でいえば、
【台湾】
細いうどんのような麺。スープには味噌も入っているのかと思われるような色をしており、断らないと唐辛子ソースをのせられる場合がある。野菜にニンニクやニラが効いている。
【韓国】
つるんとしてやや透明感のある弾力のある長い麺(はさみがついてくる)。スープは唐辛子の粉も入って赤みを帯びた色をしているがそれほど辛くない。野菜にニンニクやニラが効いている。
【日本】
長崎風のチャンポン。上に乗せた具にはブラジルでもかまぼこの薄切りが入っている。ニンニクなどが控え目。
サンパウロ市の和食レストラン「新美松」の和風チャンポン
公式のアジアからブラジルへの集団移民は、日本移民が1908年に始まったということで、アジアの移民としては日本が最初に存在感がありました。もっとも、アマゾン地方に最初に入植した東洋人は中国人と言う説も、移民史に詳しい人の中では有力です。
その後、1963年に韓国からの公式移民が到着し始め、近年ではアジアからの移民と言えば中国人の存在感がブラジル人の間でも高まっています。
チャンポンはサンパウロのレストランに並ぶようになって数十年は経ていますが、ブラジル人にはまだまだ認知度は低そうです。東アジアの移民(=移住者)が東アジア移民のために提供する東アジアの食文化の一つがチャンポンと言えそうな、サンパウロの食にまつわる小話です。
サンパウロ市でチャンポンを食べるなら国境も無いため、気分によって近場で台湾、韓国、長崎風のチャンポンを食べ分けることができます。そうはいっても、長崎に縁ある移民にとっては、郷里長崎のチャンポンを食べられる瞬間が、外地での緊張をほぐしてくれる一時となるようです。何年か前には、ブラジル長崎県人会でチャンポン祭りも開催されていたことがありました。
長崎市内で日本のチャンポンの元祖と言われる「四海楼」のチャンポン
長崎市内の観光名所、眼鏡橋の側にある「共楽園」のチャンポン
レポーター「大浦 智子」の最近の記事
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