スペイン

スペイン:バレンシア

大田 朋子(おおたともこ)

職業…ライター、エッセイスト、講演家

居住都市…ブエノスアイレス(アルゼンチン)
→ケント(イギリス)
→バレンシア(スペイン)

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自国のドル保有高を守ろうと、昨年からドル買規制を強めているアルゼンチン。
(ここで述べるドルとはアメリカドルのことです。以下ドルと記す)
日本で、何かの拍子にドルが簡単に買えなくなったとしても、(国の政策としてそのような流れになること自体がものすごく危険ではありますが)国内で生活をしている分には、国民はそれほど影響を受けずにすむかもしれません。

けれど、アルゼンチンのように自国通貨のペソの信頼が低いような国では、日常の国内の取引でも、ドル建てで行われることが多々あります。例えばアルゼンチンでは家を売ったり買ったりなどの大きな取引はすべてドル建てです。そのような国でのドル買規制は、経済の流れを止めること、いがめることを意味します。

加えて、今月9月からは、海外クレジットカードを使用すると15%の税金がかけられることになりました。これは海外旅行中に使用するクレジットカードに課金されるだけでなく、アルゼンチンにいて海外のサイトからネットでショッピングをするのにも15%の税金がかかるというわけです。
こちらも、海外へのお金の流出を防ぎたい目的です。

不動産を買うなどドルで取引するような人たちや、海外旅行をする、ネットで買い物をする人たちといえば、アルゼンチンでは中流階級以上の家庭。つまり、これらの政策では、政府が投票権を確保している低所得者層は打撃を受けません。これが政府の狙いでもあります。


「目を覚まそう。これは普通の事態じゃない」と書かれた9月13日デモを呼びかけるポスター。(画像:Ricardo David)

「目を覚まそう。これは普通の事態じゃない」と書かれた9月13日デモを呼びかけるポスター。(画像:Ricardo David)

アルゼンチンは、2001年の国のデフォルト以降、海外機関からお金を借りることができません。そのため、国内のドルの保有高は国の死活問題でもあります。でも、だからといって、経済活動や個人活動の制限につながるドル買制限やドル流出を防ぐためのタックスなどは、国際社会の一員としての意識を欠いた短期主義な対策のような気がします。





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