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松下未来 (まつした にこ)

職業…編集ライター
居住都市…シンガポール

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シンガポール・病院の分娩室

シンガポール・病院の分娩室

無痛分娩が主流のシンガポールでは、正産期内で出産日を確定する計画出産が行われています。人々は風水や占いなどを利用して、最も我が子の誕生日にふさわしい一日を選ぶのです。 私が長女を出産した前日は、シンガポールの初代首相リ・クアンユーの誕生日でした。アジアの賢人と呼ばれるリ氏と同じ誕生日にしたいと希望する親が多く、産院は大変混んでいました。


こんな恰好でも「BOY?」と

こんな恰好でも「BOY?」と

日本では赤ちゃんの性別が分からないときは、とりあえず「女の子ですか?」と聞くのがマナーとされています。女の子みたいに可愛らしいという意味で、失礼にあたらないのだとか。シンガポールでは、レースのついたピンクの洋服を着せていても「ボーイ?」と聞かれます。幾人かに理由を聞いたところ、老いた親へ仕送りなどの援助をするのが当然だと考える彼らにとって、息子の存在は心強いため、男の子か?と聞くのがマナーにかなうのだそうです。日本人の母親にとっては、頭にリボンをつけた娘に「ボーイ?」と聞かれると、少々複雑な気持ちになるかもしれません。


生後一ヶ月で頭を全剃り

生後一ヶ月で頭を全剃り

中国人にルーツがあるシンガポール人は、赤ちゃんの毛髪を剃るという風習があります。これにより丈夫な髪の毛が生えてくると信じられてきました。最近は迷信だと知られており、赤ちゃんの柔らかい頭皮に傷をつけることを懸念して剃毛を行う人は少なくなりました。しかし、この剃毛の儀式には、健やかで聡明でありますように、との願いが込められています。剃った毛髪は赤い袋に入れて大切に保存し、小筆などの記念品にする人もいます。
 母親の胎内で育まれた最初の髪の毛は、柔らかく愛おしいものです。4000年前の中国でも、赤ちゃんの毛を大切に保存したいという思いが、こんな慣習を生んだのかもしれません。




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