日本人主導で始まった41年目の国際民族舞踊祭
2012.09.27 up
『第41回国際民族舞踊祭』のチェコのステージ
『第41回国際民族舞踊祭』が、9月22日、23日にサンパウロ市内のブラジル日本文化福祉協会の大講堂で開催されていました。2日間にわたり、サンパウロを中心に活動する20ヵ国以上、全34グループが、世界各地の民族舞踊を披露していました。
周知の通り、ブラジルは19世紀、20世紀にわたって世界各国からの移民が到着しました。ブラジル全土に世界中からの移民の足跡が残る中、今もいくつもの民族コミュニティーが伝統文化の継承を目的に文化活動(語学教室、歌、ダンスなど)を行っています。民族舞踊祭に参加していたグループにとっては、日ごろの練習成果をお披露目する舞台になっています。
民族舞踊のステージのほか、各民族グループがお菓子などを販売する小さなスペースもありました。
『第41回国際民族舞踊祭』でリトアニアのグループが販売していたお菓子
多くの民族コミュニティーは、3世、4世、5世の時代を迎え、混血も進んでいるといわれます。それでも、飛行機で移動ができ、インターネットで世界中の情報が得られるようになった今だからこそ、移民の子孫たちはかえって自らのルーツが気になると同時に、旧大陸から南米に移民して、たくましく生き抜いてきたご先祖様に誇りを感じるようになる人もいます。
半世紀以上前に移民した人たちは、様々な事情で故郷に帰りたくても帰れない人も多くいました。そのようなご先祖様たちにとって、曾孫や玄孫の世代が今もブラジルで自らの故郷の民族舞踊を踊っているという姿は、なんともほほえましいものに違いありません。
アフロ系ブラジル料理を販売するアフリカのグループ
毎年9月ごろに行われ、今年で41年目を迎える国際民族舞踊祭は、日本人が主導して始められたと聞きます。それで、今もブラジル日本文化福祉協会という、サンパウロに暮らす日本人なら誰でも知っている場所で開催され続けています。組織委員会には日系人の名前も多く連なり、ステージには日本を代表して阿波踊りや琉球舞踊なども発表されています。
20カ国以上のグループとその家族や友人が集まると、移民の子孫は混血している人も多いと言われますが、やはり、民族衣装の違いはもちろん、それぞれの顔立ちもどことなく特徴の違いが浮き彫りになっていました。
ブラジルにいながら、世界からの移民やその子孫を同時に眺めてみると、民族的特質や世界史がどう動いてきたかなど、違った角度から地球の全貌が見えてくるようなところもあります。
民族舞踊祭のステージの個人的な印象として、日本では有名どころの国、例えば米国やイギリスといった国の存在感は薄く、中東欧やアラブ、ドイツ、イタリアといった、第二次世界大戦後に弱い立場に立った側では無いかと思われる民族グループが、多彩な民族色を放っている気がしました。
特に中東欧やアラブ諸国は日本では戦後半世紀以上にわたり、あまり大きくスポットを浴びてこなかった土地のような気がします。サンパウロではその気になると中東欧やアラブ諸国に縁ある人々は案外と身近で、世界史を理解する上でも重要な土地であると感じます。
そして、中東欧やアラブの衣装や音楽などは、細やかで芸術性の高いものが多く、旅情をそそられます。
『第41回国際民族舞踊祭』のイタリアのステージ
『第41回国際民族舞踊祭』のパンフレット
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