海岸山脈の頂上に広がる大都市
2013.01.12 up
サントス市からサンパウロ市に上る鉄道が通る、大西洋海岸山脈の頂上の町パラナピアカーバからの海側の眺め
サンパウロ市にいると、富士山のように絵に描いたような日本的な山らしい山の事を忘れてしまいます。ところが、実際には、既にサンパウロ市自体が、雄大なマッタ・アトランチカと呼ばれる大西洋海岸山脈の頂上まで登り切った先に広がる、原生林を開拓して造られた町です。
サンパウロ市はブラジル高原にあるとも捉えることができそうですが、広い国土を有するブラジルなので、ブラジル高原というのはもう少し内陸部からの方がピンとくる風景が広がっています。そうすると、乱立するビルで町全体が灰色に染まっているように見えるサンパウロからは想像しがたいのですが、世界有数の大都市サンパウロは、山の頂に築かれていると表現することもできます。
サンパウロ市からサントス市へ下る時の大西洋側の風景。マングローブ林やサントスの町が見える
サンパウロ市から海岸の港町サントス市に下る時の景色の眺めは雄大です。サンパウロ市から一歩離れると、一人放り出されては生きて帰るのが難しそうだと思わされるような大自然が広がっています。
サンパウロ市の位置する標高約800メートルの山頂というと大した高さではないような気がしますが、広大な大西洋に面して海岸沿いに他州にまたがって連なる山脈はスケールが大きく、まさに天然の要塞です。
そのような山脈を、500年以上前の大航海時代に到着した人々は自らの足で登ってサンパウロ市や他の山頂の土地にたどり着いたんだと思うと、ただただ、昔の開拓者はすごかったんだなあという思いだけがこみ上げてきます。同時に、今日では自動車道の橋げたや鉄道が山に敷設されていて、こんな山間で工事をした人々の偉業を感じさせられます。今では観光ルートとして大西洋海岸山脈を下りるコースもあり、昔の人の足跡を訪ねることもできます。
20世紀は人口が増える一方で、人口1000万人以上の大都市に成長したサンパウロ市は、中心地は建物の景色が主流です。かろうじて残るマッタ・アトランチカ(大西洋海岸山脈)の自然の合間に住宅を作るのが今の富裕層好みの流行で、サンパウロ市内や近郊の土地でも、時々大西洋海岸山脈に築かれた町であることを証明するかのように、原生林の名残を垣間見る住宅街や公園が存在しています。
サンパウロ市の中心に広がる建物群(写真奥)と原生林の名残を垣間見る住宅街
港町サントス市からサンパウロ市へ向かう海岸山脈を通り抜ける道路の入り口
サンパウロ市からサントス市の間の大西洋海岸山脈の風景。自動車道の高架が見える
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