スペイン

スペイン:バレンシア

大田 朋子(おおたともこ)

職業…ライター、エッセイスト、講演家

居住都市…ブエノスアイレス(アルゼンチン)
→ケント(イギリス)
→バレンシア(スペイン)

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 1月7日から新学期も始まって、やっとクリスマスのデコレーションを片付けたわが家(遅い!)。クリスマスの飾りつけをしたまま年を超すのは日本人的に少し落ち着かない気もしますが、スペインでは1月6日までクリスマスのお祝いが続くので、郷に入っては郷に従えというところでしょうか……。

 なぜ、1月6日までクリスマスの祝いが続くのかというと、カトリックの国スペインでは、キリストが誕生した12月25日とその前夜祭のイブでクリスマスのお祝いが終わるのではなく、東方からプレゼントをもってやってきた3人の王さま(レジェス・マゴス)がキリストのもとに到着したのが1月6日と言われているから。

 最近はスペインでも12月24日の夜中にサンタクロースがやってくる家庭も増えましたが、それでも一番盛り上がるのはこのレジェスで、東方三賢者が贈り物を持ってきたことにちなんで、1月5日の夜に子どもたちはレジェスからプレゼントをもらうという伝統が強く生きています。応じてクリスマスにまつわる飾りつけやイルミネーションも1月6日まで続くのです。

 さて、クリスマス関係の物を片付けていたら、トゥロンと呼ばれるスペインではクリスマスを代表するお菓子がまだたくさん残っていることに気が付きました。1月が始まったとはいえまだまだクリスマスの名残が見え隠れ…。そこで、わが家の片隅にまだ残っていたトゥロンにちなんで、今回はスペインの典型的なクリスマススイーツをご紹介します。


スーパーの量り売りで買ったトゥロンやポルボロン。クリスマス期間中台所のテーブルに置いてあります。

スーパーの量り売りで買ったトゥロンやポルボロン。クリスマス期間中台所のテーブルに置いてあります。

 スペインのクリスマス菓子を代表するものといえば、「トゥロン(Turrón)」や「ポルボロン(POLVORON)」、「マサパン(mazapan)」といったアーモンドを使ったお菓子。12月に入るとどこのスーパーでも、チョコレート味やココナッツ味といった多様な種類のトゥロンコーナーが設置され、量り売りされています。

 地元の人の中にも、トゥロンやポルボロンは甘すぎて好きではないという人もいますが、クリスマス時期にスペイン人ファミリーにお呼ばれしたとき、どこの家でもトゥロンやポルボロンをたくさんのせたお皿が机に置かれていました。あまりにもクリスマススイーツとして定番なので、「一応」買うという家庭も多い印象。

 そういうわが家も「クリスマスだし買っておこうか」…というすこぶる消極的な理由でトゥロンを買う派です。


ロールケーキの内も外側もたっぷり生クリーム…切り株(一切れ)が上にのったデコレーションが多い@(Foto Credit)Las tartas de Silvia Pichu

ロールケーキの内も外側もたっぷり生クリーム…切り株(一切れ)が上にのったデコレーションが多い@(Foto Credit)Las tartas de Silvia Pichu

 また、クリスマス時期、特にイブに食べるデザートといえば「ブッシュドノエル」。スペイン語ではエル・トロンコ・デ・ナビダード(El tronco de Navidad)」といい、文字通りクリスマスの切り株といった意味。ロールケーキの周りにたっぷりつけるチョコレート生クリームはいつの時代も子どもたちの大好物。自宅で手づくりする場合は、生クリーム塗りは子どもたちのお仕事です!


ラスコンを買うと王冠もついてきます!どこで買うかによって美味しいか美味しくないかが分かれる菓子パン。

ラスコンを買うと王冠もついてきます!どこで買うかによって美味しいか美味しくないかが分かれる菓子パン。

 1月6日はもちろん祝日で、家族で集まってランチをいただき「ロスコン・デ・レジェス」と呼ばれる王様のリングケーキを食べます。

「ロスコン・デ・レジェス」は、赤や緑のドライフルーツがちりばめられたリング型の菓子パン。菓子パンの真ん中に生クリームやカスタードクリームが入ったタイプが人気ですが、クリスマスイベント最終日の1月6日くらいになると胃の疲れを訴える人も少なくないので、ダイエット組は生クリームなしのロスコンを買います。

ロスコンのなかには、「ソルプレサ(Sorpresa)」と呼ばれる小さい人形とソラマメが入れられていて、ソルプレサ(人形)に当たった人はロスコンを買ったときについてくる王冠をかぶって王様になり、そら豆が当たった人はロスコンの代金を払うといったゲームで楽しみます。


12月に入るとスーパーやパン屋、菓子屋で詰まれています。すっかりスペインのクリスマスの顔になりつつあったりして…@(Foto Credit)wikipedia

12月に入るとスーパーやパン屋、菓子屋で詰まれています。すっかりスペインのクリスマスの顔になりつつあったりして…@(Foto Credit)wikipedia

イタリアの伝統的な菓子パンである「パネットーネ(Panettone)」もクリスマス時期になるとスーパーやパン屋などで売られていて、スペインでもクリスマス時期に食べるお菓子として定着しつつあります。

 振り返ってみると、スイーツだけを見てもクリスマス時期に実にたくさんの食の誘惑があるかがわかります。
量を調整しているとはいえ、食べてますねえ…!






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