新学期スタート 台湾の始業式
2016.09.28 up
始業式の会場へ入場する生徒たち
台湾では約2か月の夏休みが終わり、8月29日に新学期を迎えました。
通常は8月30日からですが、今年は政府が定める来年の旧正月休みの設定に合わせ、大学入試の一つ「學測(詳しくは下記 URL参照)」が1月20、21日に設定されている関係で、1日前倒しになりました。
http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=201421714030
今回は、台北市立第一女子高級中學(以下、北一女)の始業式の様子を紹介します。
始業式開始前の宣誓の儀式
始業式は7:50から開始だったので、私は7:30に学校へ向かいました。
学校の前には、多くの報道陣がいて、生徒たちの登校の様子を撮影していました。
私と同じ目的で来ているのかと思いきや、担当の先生曰く「登下校時の服装規定の取材目的で来ている」ということでした。
台湾の学校では、登下校時は学校が定める服装が義務付けられていますが、北一女はじめ一部学校(特に女子校)では、体操服やクラブ活動、クラスで作ったTシャツなどの着用の登下校を禁止していました。しかし、5月20日の蔡英文総統就任後、政府から台湾全校への通達で、服装に関する規定を、「(8月29日開始の新学期から)制服以外の学校指定の服装による通学を認め、(違反切符に相当する)証書を切らなくてもよい」と緩和し、8月18日付で公布されました。
北一女では、6月に生徒代表と校長を中心とする服装規定委員会で話し合い、規則を「学校指定の服装ならどの服装でもよい」と緩和し、8月1日付で公布されました。しかし、北一女は服装に関する規定では、他校と違い、保守的な姿勢を貫いてきた学校であると同時に、世間の注目度が高い学校のため、登下校時の生徒たちの様子を収めようと報道陣が学校の前に集まっていました。
その様子を見ていた担当の先生からは、「あの人たちも、朝早くから大変よねぇ~」と一言。
私も笑うしかありませんでした。
始業式のあいさつを行う楊世瑞(ヤン・シールイ)校長
担当の先生へのあいさつを終え、始業式の会場へ向かうと司会進行の生徒が外で発声練習を行っていました。同時に生徒たちも入場していましたが、整列して静かに入場する日本と違い、バラバラ。友達とおしゃべりしながらリラックスした状態での入場でした。
この当時、学校内の改修工事の関係で、入口が限られたため、入場に大幅に時間がかかり、始業式が始まった時、既に8:15。25分オーバーで始まりました。
2枚目の写真の儀式から始まり、国家斉唱後、楊世瑞校長があいさつを行いました。その時、元気よくあいさつを返したあるクラスには、ほめ言葉と上の写真の笑顔で返し、夏休み中に学業方面で成果を残した生徒の名前を挙げ、その健闘を全校で讃えていました。そして、3階席にいた1年生に歓迎の言葉を送り、2、3年生に歓迎の拍手を促していました。
最後に、校門の外で待っている新聞やTVのカメラについて触れ、「分かっていると思いますけど、昼休みに校門へ行く時(注:学校周辺は官公庁街で、飲食店が全然ないので、学校内の食事に飽きた生徒が外のお店に連絡して昼食の宅配を依頼したり、家族がお弁当を学校に届けたりしていて、それを昼休み時に校門で受け取る光景が見られます)は、かわいく撮ってもらえるよう、服装には注意してくださいね」という感じのユーモアある一言を添え、あいさつを終えました。
自分の席で参考書を開ける3年生たち(下の階)
楊校長のあいさつ後、各部門の先生たちから伝達事項が告げられ、校歌を斉唱し、最後の写真の儀式を行い、始業式が終わりました。
式の最中、3年生はずっと手に持った参考書を開けていましたが、楊校長に話を伺うと「(9月1、2日にある)學測の模擬試験を控えているので仕方がありませんね」ということでした。
終了時の様子
式は大体30分ほどで終わり、その後校内清掃、ホームルームなどを経て、午後から授業が始まりました。
始業式終了後、お世話になっている先生に話を伺いましたが、その間、記者から服装規定に関する取材依頼の電話が立て続けに鳴っていました。
取材依頼に関しては、「本校ホームページにて公布しております。それ以上のことはないので、取材には応じられません」と、うんざりしながら電話口で対応していました。
初めて台湾の学校の始業式を見ましたが、日本と大幅に違うのは、儀式の部分での自由度の高さでしょうか。3年生が参考書を開いていても、注意することはありませんでしたし、うるさくても「静かに!」と注意するだけで、生徒たちの自主性を尊重している感じでした。
同時に、台湾の報道の裏側を見ることができた貴重な機会でした。
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