北海道と台湾の架け橋へ 王柏融の入団会見 その2
2018.12.28 up
ユニホームを着ての記念撮影
スピーチ終了後は、栗山英樹監督から背中に「99、WANG」と入ったホーム用のユニホームを手渡され、ジャケットを脱いでから袖を通してもらい、キャップも被って、撮影に臨みました。
背番号の「99」については、9月9日生まれであること、ラミゴで使用していた「9」が空いていないこと(中島卓也選手が使用中)を理由に選んだ、ということでした。また、栗山監督の「台湾で『9』をつけてプレーしていた時よりもさらに飛躍してほしい」という願望も背番号に込められています。
ラミゴのチームメートと抱擁
栗山監督とツーショットでの撮影だけでなく、台湾側の野球関係者とユニホーム姿で記念撮影と花束贈呈も行われ、家庭的な雰囲気もつくられていました。
記者の質問に答える王柏融
記念撮影と花束贈呈の後は、記者たちとの質疑応答。
ラミゴ、北海道日本ハム双方には、王柏融の入札金額について質問がありましたが、どちらも「守秘義務があるものなので、具体的なことはお答えできません」ということでした。
ラミゴの劉社長には、入札金の具体的な使用法について質問があり、台湾における厳しい球団運営の事情を考慮し、設備投資を含め大きな助けとなるだろうと話しました。
終始にこやかな会見中の雰囲気
栗山監督には、台湾の記者から王柏融の開幕1軍、先発メンバー入りに関する質問もありましたが、「春のキャンプを見てからになると思うが、われわれが思っている以上のものを持っているはずなので、必ずそうなると信じて前へ進む」と話すにとどめました。
武田社長には、王柏融に関するPRやイベントの企画についての質問があり、北海道179市町村応援大使の活動に加わってもらう、日本で事業展開している台湾企業とのつながりを持っていけるように王柏融を活用していく、といったビジネスプランも明かされました。
この日の武田社長は、北海道の観光PRに励んでいる感が強く、年間60万人と言われる台湾人観光客が、王柏融の入団を機に応援ツアーが企画され、温泉や観光地などに足を延ばすことで、100万人突破まで増えることを期待している感じでした。
この番号が躍動する日は来るでしょうか
王柏融には、結婚を含めたライフプラン、パフォーマンスに関する質問がありました。
ライフプランに関しては、MLB挑戦を含め自然の成り行きに任せるしかないと発言し、結婚に関しても「そればっかりは…」と言うしかない感じでした。
取りたいタイトルやプレーについても、ビッグマウスに走ることなく堅実に「地道にやるべきことをやり、試合に出て結果を残すことが第一」という感じの発言に終始しました。
質疑応答終了後、王柏融はラミゴ球団のスタッフたちと記念撮影を行い、会見は終了しました。
王柏融の北海道日本ハムファイターズ入団に至ったきっかけになったのは、球団が提出した107ページにわたる中国語の資料。劉玠廷社長の話では、球団の紹介、王柏融の練習、育成プラン、生活拠点、さらには北海道でおいしい魯肉飯が食べられるお店の名前まで書かれていたそうです。
この資料は、かつてドラフト1位で指名した大谷翔平(当時花巻東高、現ロサンジェルス・エンジェルス)を獲得する際に用意した球団資料「夢への道しるべ」をほうふつさせるもので、このあたりにラミゴは北海道日本ハムに誠意を感じたようです。
また、会見中も栗山英樹監督と武田憲宗社長は、送り出す側のラミゴに配慮する姿勢を見せ、何度も感謝の言葉を述べ、その誠意にうそ偽りのないことも証明して見せました。
王柏融との契約期間は3年ですが、武田社長は2023年に完成予定の北広島市の新球場でも王柏融が躍動し、球場とその周辺施設に台湾人観光客が多く訪れる光景を思い描いている様子でした。
一方で、ラミゴ側も別れの寂しさと戦力ダウンの痛手を押し殺し、背番号「9」を当面のところ欠番扱いにし、また台湾へ帰ってきた際にはつけてもらおうということで、王柏融に最大限の敬意を払い、送り出しました。
この王柏融のポスティング移籍は、単なる球団間の選手移籍としてだけではなく、双方のビジネス的な視点から見てもウィンウィンの関係が構築できた格好になったように思います。その雰囲気が終始出ていて、笑顔が絶えない家庭的な温もりが残ったまま終わったような記者会見でした。
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