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台湾

台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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試食したアメリカ米

試食したアメリカ米

 6月25~28日にかけて、台湾国際食品展が開催されました。
 
 同じ時期に開催される台北COMPUTEXと同規模で、南港展覧館の1号館と2号館の上下階を全て使って開催されるので、この期間中、賑やかなお祭りのような雰囲気が漂います。

 また、海外からの訪問者向けに色々なサービスが設けられていて、大規模な会場の観覧に疲れたら、そこで少しばかり休んだり、帰りに台北市内の観光スポットやショッピングモールでクーポンを使って買い物を楽しんだりすることができるのも魅力です。

 日本の各地からも、自社の商品をPRするため、会場に大きい規模のブースを設けていて、日本の各地を訪問したような感覚や気分を堪能できるのも魅力の一つです。

 今回は、日本で米不足のニュースが伝わっている時期だったこともあり、「米」を中心に見てきました。ニュースの中でも、日本で台湾米が販売されていると聞き、どうしても見ておきたかったので、会場内を回って色々お話をうかがってきました。


タイ米を扱う業者も

タイ米を扱う業者も

 台湾米を知る前に、偶然見かけたのがアメリカ産米です。日本でもアメリカ産米の輸入に関する交渉が行われていると聞きましたが、今どうなっているでしょうか。

 会場では、4種類のアメリカ産米が展示されていて、試食もしました。
 1枚目のカリフォルニア産ローズ米は、食感は日本で食されているものと変わらないように感じました。何も言われないで試食を差し出されたら、多くの人がアメリカ産米だと気づかないのでは、と思えるくらいです。

 米に対する思い入れが強い日本人には、受け入れがたい評価かもしれませんが、アメリカ産米も生産農家の努力次第では、選択肢の一つに入るのでは、と思いました。


台湾で販売されている日本産のお米

台湾で販売されている日本産のお米

 1993年の米不足を覚えている方、記事などで知っている方はどのくらいいるでしょうか。この時、粒の長いタイ米を急きょ輸入しましたが、タイ米の調理の仕方など理解が今ひとつ浸透しておらず、捨てられたり、家畜のエサになったりしました。

 アメリカ産米の品種にも、「ジャスミン米」と呼ばれる粒の長いタイプの米がありますが、タイ米同様、受け入れられるかどうか気になるところでもあります。

【参考】
https://weathernews.jp/s/topics/201903/120115/


試食した台湾米

試食した台湾米

 気にある台湾米ですが、米を扱う業者を訪問してみると、3枚目の写真のように日本米を輸入し、市販している業者が多くいることも分かりました。近所のスーパーでも見かけるので、展示があるのも必然ですが、品種名に日本語が惜しげもなく使われていて、びっくりしてしまうくらいでした。同時に、日本の米のブランドが台湾の業者や消費者からも高い信頼を得ていることも分かりました。

 台湾には、日本産のコシヒカリが伝来し、台湾各地で生育を進め、「越光米」という名で販売していることを知りました。食感も日本のコシヒカリと変わらず、他の台湾産米より値段が若干高いのも特徴です。


日本人と共同作業で作成

日本人と共同作業で作成

 ある生産業者のブースを訪れたら、4枚目の写真のように試食を勧められました。

 下側にあるのが白飯の試食ですが、味が大きく違います。右側のは、日本のコメに近い食感があったのに対し、左側のは「香芋米」といい、食感こそ日本の米と変わらないものの、口に入れると何かしらの芋のような香が残るのが特徴です。感想を聞かれ、「どちらもおいしいけど、日本人に合っているのは右の方だと思う。米に香りが残るのは、抵抗感がある人も多いと思う」と返答したところ、担当の方から「実は訪問してきた日本の業者の方もみんな同じことを言っていた」ということでした。

 他の業者にも話を聞いたところ、日本の業者も多く訪れていたことがわかり、台湾米への関心の高さをうかがわせました。

 台湾米を見ていると品種が多く、単純に「台湾米」としてくくることができない奥深さがあるように感じました。同じ品種でも、産地で変わったりするだけでなく、寿司用や丼飯など用途に合わせて品種をブレンドすると、その比率で食感が変わってくるということも業者のみなさんから教えていただき、自分の認識の甘さを大いに恥じました。

 台湾に来て、日系の飲食店に行く機会が増えましたが、そこで提供されるご飯も、多くの産地の業者の努力によってもたらされているものだと分かり、頭が上がらない思いです。

 それで思い出したのは、過去に紹介した「鮭の乱」というもの(詳細は参考欄まで)ですが、寿司店でネタだけ食べ、シャリを残すという行為が、ただただ米の生産者たちを愚弄するものでしかないと改めて感じました。

 産地に関係なく、米の生産に携わっている人たちは、日本に輸出をする際、日本人の好みや味覚に合ったものを提供できるよう、農家は生産に携わり、業者は食品店などで知り合った日本の業者から意見を拾い、商品の開発をしていることが今回の訪問でよく分かりました。

 日本で台湾米が販売されているのを見かけたら、台湾のみなさんがどんな思いでその米を製品化し、販売しているかに思いを寄せてほしいと思うと同時に、日本政府も長い年月をかけて構築してきた米の文化を軽視することなく、米不足の問題解決に向けて取り組まれることを祈ります。

 最後に、私の訪問を受けてくださり、お話を聞かせてくださった台湾各地の生産者と業者のみなさんに、この場を借りてお礼申し上げます。

【参考】
http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=202262615033


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