ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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採れたてのパウミットのサラダ

採れたてのパウミットのサラダ

 ブラジルはヨーロッパ人が到着する500年以上前、アンデス地方などのインディオたちによって「ピンドラーマ(ヤシの国)」と呼ばれていたそうです。そのくらい、ヤシ植物が多く原生していたことが容易に想像できます。

 今、日本などでもおなじみのブラジル産フルーツに「アサイー」もヤシ科の植物で、その果実が加工され食されてきました。他に、ドリンクとして親しまれているヤシの実はブラジルでは「ココ・ダ・バイーア」と呼ばれ、東南アジアからヨーロッパ人によって持ち込まれたと言われていますが、今のブラジルでは改良種も含め、多く栽培されています。

 ヤシ科の植物は果実だけでなく、もう一つブラジルでよく親しまれている食材が「パウミット」と呼ばれるヤシの若芽です。


パウミットを採集するために切り倒される女王ヤシ

パウミットを採集するために切り倒される女王ヤシ

 一般に瓶詰めにされてスーパーで販売されているヤシの若芽は、ププーニャ、ジュサラーなどの種類です。それをサラダやパステル(ブラジル風の揚げ物)の詰め物などにしてよく食べられています。

 「少ないのに高い」と言われる声も聞きますが、それもそのはずです。食べられるほんのわずかのヤシの若芽を採るのに、大きなヤシの木を切り倒し、青い若芽の外皮を?がし、体力と手間暇かけて食べられるようにしていきます。

 そんなぜいたくなパウミットを「特別なお客さまが来た時のおもてなし」として用意しているのが、パラナ州マリアルバ市在住の国府修さん(65歳,マリアルバ生)ご夫妻です。


食用のパウミットが採られる女王ヤシの青い若芽の部分

食用のパウミットが採られる女王ヤシの青い若芽の部分

 農業を営む国府さんの自然豊かな広い土地には、放っておいても鳥や虫が種や花粉を運び、マンゴー、パパイヤ、バナナ、ライチ、栗、マカダミアナッツなど、時期が来るとさまざまな植物が収穫されます。それらは販売するための作物ではありませんが、どれも家庭では食べ切れないほど収穫されます。そのような植物の一つに女王ヤシもあります。

 マリアルバ市の位置する場所は、昔からヤシがよく原生していたそうで、ブラジルでは、ヤシ植物が自生する土地は農業によい土地と言われ、シダ植物の多い土地は農業には不適切な土地とも言われてきたそうです。 

 国府さんの土地にはすくすくと女王ヤシ(パウミット・レアル)が育っています。帝王ヤシ(パウミット・インペリアル)よりは小さいものの、高さ10メートルほどはあります。帝王ヤシは他の土地に移植してもよく育ち、観賞用の価値がありますが、女王ヤシは移植すると生き延びないということで、1カ所で繁殖させてパウミットとして食べるのがちょうどよいそうです。

 国府さんは3カ月に1回ほど、お客さんに食べてもらう機会があり、そのたびに2、3本を切り倒しても、すぐに大量の新しい種が落ちてあっという間に芽を出し、生育していくとのことです。


若芽の最も内側の軟らかい芯部分のみが食用となる

若芽の最も内側の軟らかい芯部分のみが食用となる

 高さ10メートル以上の太くて大きな女王ヤシの幹をチェーンソーで切り倒し、上部の青い芽の部分を切り取り、その皮を何枚もむいてようやく出てくる軟らかい部分は、1キロあるかないかです。

 町では当たり前に瓶詰めにされたパウミットを食べていますが、自分で木から採るとなると、誰にもできるものではない、とてもぜいたくな料理です。

 国府さんの肥沃(ひよく)な土地で放っておいても増えていく女王ヤシ。女王ヤシの若芽は一般に販売されることは少ない種類で、田舎暮しならではの味わいです。その採れたてのヤシの若芽は、軽くゆでて食べるのが、程良い歯応えがあり、好まれています。タケノコ感覚の食材とも言えますが、その必要な体力と手間暇は、断然パウミットに軍配が上がります。


若芽の外皮を何重もはがして軟らかい食用部分を取り出す

若芽の外皮を何重もはがして軟らかい食用部分を取り出す


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