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感染症対策の過程で失いそうなもの
2020.03.27 up
ディスカッションの成果
1月下旬から新型肺炎の影響が出始めています。
台湾は色々なところで報道されている通りなので、特別ここでは触れませんが、先月気になったことがありました。
現在、台湾は日本に対し、2月14日にレベル1・Watch(注意喚起)、22日にレベル2・Alert(警戒)、3月19日にレベル3・Warning(警告)とし、21日には外国人の入境者に対し、14日間の在宅検疫を義務付けました。
実は、レベル1が出た翌日、ある学校の先生から「4月に予定してた東京とその周辺を巡る教育旅行の中止を決めた」と言われました。日本だと、会議を行い、時間をかけ慎重に決断すると思うものなので、その決断の早さに驚きました。
驚くと同時に、今後の交流活動や未来を考えると、心配なこともあります。
今回は、今後滞りそうな交流活動の様子を紹介しながら、自分の中になる心配にも触れていきたいと思います。
模擬国連でも見かけた電子辞書
上から2枚は昨年10月の台北市立第一女子高級中學(以下、北一女)とお茶の水女子大学附属高校(以下、お茶の水)との交流活動で撮影したものです。毎年、ディスカッションを行いますが、全部英語。
開始当初は、北一女の生徒たちに圧倒されっぱなしだったのですが、お茶の水側も対策を立てて臨むようになり、今では気後れしないで堂々としている生徒の姿が見られるようになりました。
電子辞書は、「より正確に伝えたい」という意識が強いことから使ってい方が多いのでは? と引率の先生から伺いましたが、これも日本人の特徴と言えるものです。
書道の交流活動での作品
11月上旬は、毎年沖縄から来ている書道の交流活動。
北一女と國立台湾師範大學附属高級中學を訪問し、作品を残す活動ですが、双方の紹介プログラムで、沖縄の歴史や文化を教えてくれるのが魅力です。
この交流活動を通して、「如何に沖縄のことを知らないか」を痛感する機会でもあります。
北一女の校内より
沖縄の高校生たちが訪問した北一女の校内には、抗議デモの抑圧に苦しむ香港の若い世代に向けた応援メッセージが貼られていました。
加えて総統選挙、立法委員選挙の2ヶ月前。
日本にいてはまず実感できない、台湾の政治やアイデンティティに触れる絶好の機会でした。
儀仗隊の体験交流
12月13日は、埼玉県立浦和第一女子高校(以下、浦和一女)の修学旅行の一行が訪問。
クラブ活動の体験の一コマ。
儀仗隊に加わり、エリートライフルの使い方をの指導を受け、体験していました。
現在、レベル3がすべての国と地域に出され、14日間の在宅検疫措置、3月4日から公共交通機関での移動を禁止され、11日から違反者に10~100万元(約34万8165~348万1648円)の罰金が科せられます。
在宅隔離・検疫措置対象者が無断で外出した場合も、最高で100万元の罰金が科せられます。
この状況では、渡航どころではありません。単に人の移動が滞るだけでなく、日本の文化、魅力などを紹介し触れる機会も大きく失われていきます。
今回紹介した交流活動に目を向けると…
・北一女のお茶の水→過去の経験に基づく学校が進めてきた英語教育の成果を確かめる
・沖縄の書道の交流→日本人でも知らないかもしれない沖縄の文化、歴史などを知ることができる
・北一女(他1校あり)と浦和一女→生徒たちが覚えた英語でコミュニケーションを図ることで、どこまで使えるか自身の力量を測る
といった機会になっています。
新型肺炎が日本で猛威を振るえば振るうほど、台湾側のガードはさらに固くなると同時に、人の往来も減り、こうした交流による教育と学習の成果を外で確かめる機会も減っていきます。
ところが台湾で日本の様子を見ていると、経済活動など目に見える部分で失いそうなものは大きく取り上げていますが、文化、教育といった目に見えないものには反応が薄いように見えます。
今回だけでなく、過去何度も紹介した日本と台湾の交流活動は、しばらく見られなくなりそうな気配です。私個人は、このような交流活動の停滞が、未来に語り継ぎ、残していかないといけない教育的、文化的な財産を失い、日本社会全体の世界の文化の理解と発展の遅れにつながっていくのではないかと心配になってきます。
日本の皆さんには、どうかこの辺りにも敏感になっていただきたいと思います。
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