ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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図解を見ながら医師と患者がインターネットで診察を受ける様子

図解を見ながら医師と患者がインターネットで診察を受ける様子

 コロナウイルスの影響で3月23日から本格的な外出自粛モードに入ったブラジル。街の人通りはめっきり減り、買い物やどうしても移動が必要とされる仕事の人以外は人の往来も減り、サンパウロはこれまでになく静かな町となっています。

 それでも、通りの人の動きは減少しても、屋内とネット上の動きがストップしたわけでなく、コロナ禍の影響で新たな動きが現れた現場もあります。例えば医療現場です。

 「3月23日の週には、ブラジル政府から一時的な遠隔医療(テレメディシーナ)の許可が出されました。」
と説明するのはサンパウロ市内で不妊治療クリニックFerticlin(フェルチクリン)を経営する中野英二ラウル医師。

 中野医師によると、外出自粛以降、ブラジルの約95%の不妊治療クリニックは門戸が閉じられ、フェルチクリンも例外ではありませんが、患者が自宅に居ながらインターネットで診察を受けられる遠隔医療の体制を整えました。


遠隔医療の特別許可により、インターネットで診察する中野英二医師

遠隔医療の特別許可により、インターネットで診察する中野英二医師

 遠隔医療はブラジルでも18年ほど前から可能でしたが、対面での診療を重視して、これまで政府から認可されてこなかったといいます。

 コロナウイルスの影響により、不妊治療の現場ではヨーロッパや北米の生殖補助医療協会の通達を受けて、「リスクが分からないため、治療中の人は一旦中断」「
新たな治療は始めない」「コロナウイルスの問題が収まるまで、基本的には採卵や胚の移植は停止」といった措置が取られることになりました。
 
 今回はコロナウイルスによる一時的な措置とのことですが、遠隔医療を導入することにより、これまで治療を受けて妊娠できなかった人や継続可能な検査を進めることで、数カ月後の治療の準備をする事ができます。また、ブラジル奥地の人も気軽に医療を受けられることにつながります。

 「コロナウイルスの問題により、先延ばしにされてきた医療現場のシステムが本格的に試されることになりました。これがうまくいけば、コロナウイルスの問題が収まった後も医療システムに変革されるかもしれません。」
と話す中野医師。

 ITは有効活用すれば、時間の短縮や二酸化炭素の排出も抑制、遠隔地の人々にもハイクオリティーなサービスを提供できるなど、メリットがあります。

 コロナウイルスの影響より、世界中が今まで足踏みしていた新しいシステムを本格的に導入していく移行期となる可能性も秘めているかもしれません。





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