台湾

台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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演説を行う陳時中元衛生福利部部長(9月17日の北投地区対策事務所開きの集会時)

演説を行う陳時中元衛生福利部部長(9月17日の北投地区対策事務所開きの集会時)

 過去にも触れましたが、11月26日に各自治体の首長と議会の議員、各地域の「里長」を決める統一地方選挙が行われます。

 この選挙に向けては、以前紹介した昨年の住民投票と1月の補欠選挙の時からすでに動きがあった感がありますが、5~7月に候補者が出揃い、8月29日~9月2日に立候補の届出受付が行われ、本格的な選挙戦に入っていきました。

【参考】
http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=20211222153050

http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=20221218114

http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=202211517144

 今回は、日本のみなさんも注目していると思われる台北市長選挙について様子を見てきた範囲で紹介していきます。


選挙対策本部の事務所開きの集会の様子(10月1日)

選挙対策本部の事務所開きの集会の様子(10月1日)

 台北市長選挙は、全部で12人立候補していますが、注目されるのは以下に挙げる3人。

 現職の柯文哲市長の下で副市長を務め、柯市長が党首を務める台湾民衆党から後援を受けている黄珊珊氏、8年ぶりに政権を奪回したい國民党からは未来の発展が期待される蔣萬安立法委員、現与党の民進党からは日本でも新型コロナウイルスの感染対策で評価を上げた衛生福利部の部長、対策本部の指揮官として名前が知られている陳時中元部長(注:衛生福利部部長と対策本部の指揮官は立候補表明と同時に辞任しました)。

 実質この3人の争いになると思われますが、このうち陳時中元部長と蔣萬安立法委員の活動の様子を見てきました。

 まずは陳時中元部長。
 10月1日に選挙対策本部の事務所開きの活動が行われ、そこには台北市議会議員選挙の公認候補者が揃っただけでなく、行政員の蘇貞昌院長、頼清徳副総統、蔡英文総統も訪れ、応援演説を行いました。

 陳時中元部長の様子も、衛生福利部の部長時代のような落ち着いた口調の話し方から大きく変わり、政治家特有の抑揚をつけ、聴衆に訴えかけるような話し方に変わりました。


事務所に貼られたマニュフェストの一つ

事務所に貼られたマニュフェストの一つ

 陳時中元部長の選挙対策本部は、2年前と6年前の蔡英文総統の選挙対策本部があったところと同じ場所にありますが、中に入ると、各方面から送られた花が入口からあふれるような感じで置かれていて、期待の高さがうかがえました。

 事務所の中を回ってみると、入口から奥のところにマニュフェストが壁一面に貼られていました。そのうちの一つが上の写真で、台北市を世界的に競争力がある都市にしたい、という思いが出ているものでした。

 事務所の中は、他にもカプセルに入った紙に意見や要望が書け、投書できるようになっていたり、かつて駅で見た伝言板のように黒板とチョークでメッセージが残せるようになっていて、そこに蔡英文総統の署名が入ったもものがありました。


10月10日の会場

10月10日の会場

 総統府前の京都橘高校の演奏で盛り上がった10月10日(注:台湾は祝日)には、國民党も集会を兼ねた親子向けの企画も台北市内で行われました。

 親子向けの企画としては、キッチンカー、バルーンアート、シャボン玉アート、子供の遊戯施設、地区の各候補者のブースにある輪投げやサイコロの屋台がありました。

 集会用に設けられた舞台では歌手による歌の披露も行われした。

 


来場者に向けて演説する蔣萬安立法委員(マイクを持つ男性)

来場者に向けて演説する蔣萬安立法委員(マイクを持つ男性)

 舞台で2組の歌手が歌を披露した後、国民党の公認候補と台北市長選挙に立候補した蔣萬安立法委員が自身の子供である赤子を片手で抱いた状態で登壇しました。

 そこで自身のマニュフェストを語り、市政への意欲を見せました。
 同時にこの選挙のために創作したオリジナルテーマソングも市議会議員選挙の候補者全員で合唱しました。

【参考】
https://youtu.be/Wku-sQ9yjAM

 この他、「中華民國建国111周年」ということで、10月10日に誕生日を迎えた市民の代表者と一緒に誕生日を祝い、バルーンアートで作ったナイフでケーキカットを行う儀式もありました。

 蔣萬安立法委員が舞台を降りてからも、舞台の歌手2組によるライブ、親子向けの活動も継続して行われました。
 肝心の主役が舞台を降りてからは、客席も半分近く減り、空席が目立つようになっていた一方で、市議会議員選挙の候補者と応援者たちが客席を回る姿が目立ち、舞台下にいる蔣萬安立法委員に支持者が群がり、サインや記念写真をねだるような光景がありました。

 バルーンアートのアーチストがいたところは、さすがに親子連れの長い列ができていましたが、それ以外は人が減り、閑古鳥が鳴いているようにも見え、寂しく感じました。


 現職の柯文哲市長は、今年発表された大手雑誌の各自治体の施政満足度調査で最下位を記録しました。

【参考】

https://www.gvm.com.tw/article/90243

 柯文哲市長は任期満了で今年で退任しますが、後方支援している黄珊珊副市長は、この影響からか前出の2候補よりも苦戦が伝えられています。

 反対に前出の2候補は、市民の不満を追い風に選挙戦を有利に戦える雰囲気です。

 11月26日、当選するのは誰でしょうか。


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