台湾統一地方選 若手無所属候補者奮闘記(2)
2022.12.21 up
林亮君候補
台北市内で行われた演説会は、18時からの開始でした。
林亮君候補と呉崢候補ののfacebookでは、この様子がLIVEで中継されていましたが、協力した3名は自身の選挙区が台北市全体の抱える問題点を代表している地点の近くで、およそ1時間程度演説を行なっていました。
先頭に立って演説したのは、会場が選挙区になっている林候補。
台北市の問題の一つである市営住宅に関する問題を、争点整理と目指す方向を落ち着いた様子で語りました。この辺りは、現職の議員の立場で触れているだけあり、非常に説得力があったものになりました。
その後、予定が入っていたのか、演説終了後すぐ会場を後にしました。
呉崢候補
その次に登場したのは台北市第4選挙区の呉崢候補。
4年前の台北市議会議員選挙では、時代力量の所属で立候補して落選しました。その後、時代力量を離党し、今回は無所属で立候補しましたが、他の無所属(時代力量時代の仲間)候補者たちと一緒に、選挙活動を行いました。
10月23日に見た時同様、人によっては「癒し系」と感じる優しい男性の口調で、市営住宅の問題、台北市の不動産価格の高騰に伴う人口流出問題を噛み砕いて丁寧に話していました。
苗博雅候補
最後は、台北市第6選挙区苗博雅候補が締めました。
苗候補は、少数政党の社会民主党所属の現職で、議会では高度な論理構築で鋭く柯文哲市長らに切り込んでいった方でもあります。
この場でも、安定感ある論理構成に加え、聞き取りやすさを意識した声量と発音で、市営住宅の問題を語っていきました。
終了後、聴衆からの質問に付き合う苗博雅候補
3人の演説終了後、聴衆との質疑応答になりました。
ここでは同じ人が不明な点を何度も聞く展開になりましたが、苗博雅候補、呉崢候補とも、自身の個性をしっかり発揮して答えていました。
私が驚いたのは、終了後のことでした。
設置したものやLIVE中継で使った機材をスタッフたち片付けている横で、苗候補が聴衆の一人に対し、市営住宅に関する質問にしっかり答える姿がありました。その質問も、同じ人がわからないことを何度も聞くような感じでしたが、それに対しても、適当にあしらう様子は全くなく、真剣かつ丁寧に、納得してもらえるよう根気よく付き合い、最後は握手で終わり、思わず「かっこええなぁ~」とつぶやきたくなるような光景でした。
過去の活動で、ここまで聴衆に付き合う候補者は見たことがなく、本当に驚きました。
林穎孟候補
ここまで紹介してきた無所属、少数政党から立候補した候補者たちに共通しているのは、30代の「若手」と呼ばれる候補者たちであり、2014年のひまわり学生運動時に前線で活動していた世代でもある、ということです。
その若い世代が、さすがに現職といえども既成政党を離れ、無所属で活動するのは、簡単ではなかったように感じました。
紹介順で、その結果は…
黄郁芬候補 12033票 得票率4.37% 全体14位で次々点
林亮君候補 13087票 得票率7.7% 全体8位で当選
呉崢 候補 14686票 得票率6.87% 全体10位で次点
苗博雅候補 28417票 得票率9.97% 全体2位で当選
でした。
苗博雅候補は候補者数27人、定員13人(うち女性枠3)の選挙区で大健闘したのは、街頭演説で最後まで付き合って質問に答える姿が大きく評価されたように感じました。
林亮君候補は、同年代で行動を共にすることが多い頼品妤立法委員、蘇巧慧立法委員といった民進党所属者、もしくは民進党寄りの関係者が応援に駆けつけたことも当選につながったように見えました。
もう一人、10月23日の黄郁芬候補の集会に応援に来ていた林穎孟候補も台北市第6選挙区で立候補していましたが、4630票、得票率1.62%、全体17位で落選しました。林穎孟候補も時代力量所属の現職でしたが、2020年に黄郁芬候補と共に離党し、無所属で活動していました。
今回の結果を見ていると、所属政党の壁が想像以上に高く、それを乗り越えるのが簡単ではないことが分かりました。特に若い世代の候補者は、経験の浅さだけでなく、資金力の差で選挙区内で用意する広告も限られるので、その意味でも厳しいように感じました。
若い世代が地方政治の舞台で躍動する姿が見られるのは、すこく楽しみで、期待を持ちたくなるのですが、無所属か少数政党の候補者たちの選挙戦での苦労を目の当たりにした、今回の活動記でした。
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