ブラジル最北州でパイオニアに数えられる日本人移民
2022.02.04 up
モニュメントに描かれた日本人移民のトレードマークだった帽子をかぶる日本人移民の男性
今日ではブラジル各地に約200万暮らすと言われる日本人移民とその子孫たち。ブラジルには公式の日本人移民は1908年に最初に到着しました。
ブラジル国内で日系人が集中して目立ってきたのはサンパウロ州やパラナ州で、その子孫たちは社会の様々な分野で活躍しています。
ボアビスタはサンパウロからは飛行機で約5時間、ベネズエラや英領ギニアと国境を接する州で、同じブラジルでもポルトガル語は通じますが、気候も地理的にもも少し離れており、サンパウロの人々からは少し遠い印象の土地です。
そのボアビスタの中心地の一角で、かつて開拓起点となった市内を流れるブランコ川のほとりにプラッサ・ドス・イミグランテス(移民の広場)という場所があり、モヌメントス・アオス・ピオネイロス(開拓者のモニュメント)というレリーフがあります。このモニュメントには、ロライマ州のパイオニアとして考えられる先住民やブラジル北東部からの移住者、カヌーに乗ったブラジル人家族に混ざって、日本人移民が加えられています。同地での日本人移民の評価の高さを象徴するモニュメントです。
モヌメントス・アオス・ピオネイロス(開拓者のモニュメント)は、1995年に建てられ、日本人移民親子の男性は、かつてトレードマックだった特徴ある帽子をかぶっています。カヌーのブラジル人は、ボアビスタに限らず、サンパウロも含めてブラジル全土でかつての開拓者は、陸だけでなく川伝いに新しい土地やチャンスを求めて奥地に入っていった歴史を表しています。
モヌメントス・アオス・ピオネイロス(開拓者のモニュメント)
日伯ロライマイ(ANIR)によると、現在、ロライマ州には約140家族、約700人の日系人が暮らしているとのことです。
ロライマ州に公式に最初の日本人移民が到着した大きな二つの波は、1955年と1961年でした。当時、合計約20家族が到着し、2家族は州都ボアビスタに、他は州都から約90キロ離れたタイアーノ地域に入植して暮らすことになりました。
当時のタイアーノ地域は肥沃でしたが他地域へのアクセスが悪く、病院や医者にも徒歩や車でもすぐに通えないような生活環境の悪さで、多くの日本人移民がタイアーノ地域を離れ、ボアビスタや他地域へ再移住したということです。
その中でボアビスタに移って懸命に働き、同州の様々な分野でパイオニアとなって事業を展開し、公職でも活躍するようになる日本人家族たちがいました。
1980年代に入ると、ブラジル連邦政府がロライマ州を植民地化する計画を発表し、他州からの移民を募集し、ブラジル北東部や南部から移住してきた日系人もいました。その中の移住者には、現在のロライマ州で最大の稲作農家となっているような人もいます。
この10年でもロライマ州に移住してくる日系人はさらに増加し、同州の開発に関わる公務員やアグロビジネスを中心に活躍しています。
開拓者がロライマ州の開拓を進めるためにたどってきた川の地図
ロライマ州は1943年にリオブランコブラジル連邦領土となり、1988年に州として正式に承認された州としてはまだ若い州です。開発途上の町であり、今も新参者が様々な分野でビジネスチャンスのある州です。
そのようなロライマ州で、ボアビスタや同州の発展させてきたパイオニアとして認められ、同地の日本人・日系人は少数でありながらとても尊敬され、また同地の人々は日本文化にもとても興味を持っているということです。
ボアビスタ市内を流れるブランコ川
モヌメントス・アオス・ピオネイロス(開拓者のモニュメント)に描かれた開拓者とインディオの女性
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