アンガスビーフが身近になったサンパウロの肉売り場
2023.03.23 up
サンパウロの精肉店に並ぶアンガスビーフ
この数年でブラジルの食肉売り場で新しく現れた変化は、アンガスビーフが身近になったことです。スーパーや精肉店ではアンガスビーフ売り場が設けられ、若者に人気のハンバーガー専門店などでも、「アンガス牛使用」とうたった商品が一押しメニューとして見られることがあります。昨年9月からはブラジルのすき家でも、100%アンガスビーフを使用した焼肉丼が登場しています。
100%アンガスビーフを使用したブラジルのすき家の焼肉丼
現在、食肉輸出量世界第一位のブラジルですが、従来のブラジルで生産されてきた一般的な牛肉は、熱帯の気候にも強いグラスフェッド(牧草を食べて生育)で、現在も全体の9割がこの種のタイプです。アンガスビーフを含めた日本で多く流通しているグレインフェッド(穀物を与えて肥育)の生産は全体の約1割と言われています。
ブラジルで販売されているアンガスビーフのレトルトパック
ブラジルと言えば牛肉大国。その代表的な料理はくし刺しにして直火や炭火で焼いたシュラスコ(ブラジル式バーベキュー)です。日本人がブラジルのレストランでシュラスコを食べた時、「おいしい」と評価する一方で、家庭で日々の料理を作る場合、グラスフェッドが主流のブラジルの肉は塊かせいぜいステーキ状で販売されているだけのため、裁くのが大変な上、味も脂っ気が少なく硬い感じがします。
しかし、アンガスビーフが身近になったことは、ブラジルの家庭の食卓を変える事は間違いありません。旧来のブラジルの肉とは明らかに異なり、塩がなくても肉そのものがおいしく、切り裁く時も食べてもやわらかで、脂ののりも程よく脂身も美味しいです。ブラジルの旧来の一般市場に出回る肉と比べると、その味の違いは明らかです。
家庭で簡単においしく料理できるアンガスビーフのグリル
ブラジルや南米からの食肉・水産物などの輸出コンサルタントを手掛けるブラジルフードサービスの小寺健一さん(65、北海道出身、サンパウロ在住)によると、
「ブラジルの牛肉市場はこれまで主流だった自然放牧からトレーサビリティ(生育の経歴管理)を重視し、より安全でおいしい肉を作る時代になっています」
との分析で、最近は消費者の間でもアンガスビーフの味を知り、そのファンが確実に増えています。
グリルする前のアンガスビーフ
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