帯畜大同窓生 ブラジルへ移住した祖母の足跡訪ねて
2023.03.07 up
右から帯畜大同窓生の服部敬也さん、飯崎貞夫さん、板垣隆さん、大浦格さん、栗田志之利さんと姪
「ブラジルに移民し、日本に遊びに来た後も喜んでブラジルに帰国していた祖母の思いを知りたいと思いました」と語り、2月下旬から約1週間、サンパウロ州ボイトゥーバの叔母を訪ねていたのは栗田志之利さん(千葉県出身)。
栗田さんは帯広畜産大同窓生(1980年卒)で、大学卒業後には一年間、十勝毎日新聞で働いていたこともあります。
今回、栗田さんが初めてブラジルを訪問するということで、3月2日にサンパウロ市内で、大学時代の仲間でブラジルに移民したサンパウロ近郊に暮らす帯畜大メンバーが集まり、旧交を温めることになりました。
栗田さんは移民した祖母の影響で、長年ブラジルに行きたい思いはあったものの、忙しい毎日でなかなかチャンスが得られないまま時間が過ぎてしまいました。
今回、ようやく旅行できる時間が得られ、「次世代に移民した祖母のことや外国で暮らすということを通じて歴史を語り継いでおきたい」と、大学では戦前戦後の日本の国内外の文化や歴史を英語で発信する勉強をしていた姪を連れて訪れました。
「日本ではブラジルに移民した日本人の暗い側面ばかりが言われることに違和感がありました。なぜなら、私は子供の頃、ブラジルに移民した祖母が日本に来た時、嬉々としてブラジルに戻って行く姿を見ていたからです」と自らの思い出を振り返る。
そんな祖母の記憶から、「ブラジルは一体どんな所で、祖母はいったい何を思っていたのだろう」という素朴な疑問を自分なりに納得したいと、ボイトゥーバ在住の叔母(79)を訪ねました。叔母は栗田さんたちの訪問を大変喜び、とどまることなく、様々な家族のヒストリーや思い出の写真などを見せて語り明かしてくれたと言います。
栗田さんの祖母は、第二次世界大戦前には中国の北京で暮らし、日本人の両親は一声館という有名なホテルを経営して裕福な生活を送っていました。大陸の気風に慣れていた祖母には、敗戦後に戻った日本の貧しさや日本の習慣の方が外国のように感じられた部分もあったはずです。戦後、ブラジルへ移民する時には、独立する年齢に達した年上の子供たちは日本に残し、まだ小さい栗田さんの叔母を含めた小さな子供たちだけを連れて行きました。結果的に、祖母の人生が日本に合計15年ほどしか住んだことはなく、生まれてから天に帰されるまで日本国外での生活の方が長い人生でした。
今回、ブラジルに行くという話をブラジルに移民した帯畜大同窓生の服部敬也さん(62、愛知県出身、1985年卒)に連絡したところ、服部さんもちょうど日本に帰国していて、すぐにブラジルに行く予定があるという話があり、一緒にブラジルで合流することになりました。服部さんはブラジルのエコツーリズモのメッカとして世界的に有名なパンタナールの著名な観光ガイドでもあります。大自然を愛する帯畜大同窓生同士ということで、栗田さんもパンタナールを一緒に観光し、祖母の足跡を確認することもでき、充実のブラジル旅行を終えて帰国されました。
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