世界大会でも好成績の学生が制作するロケット発射の実験
2024.03.04 up
2月18日に打ち上げられたプロジェット・ジュピターのロケット
ブラジルには学生で構成される大学のロケット・モデリング・チームがあります。サンパウロ市にあるサンパウロ州立大学(USP)のチームは「プロジェット・ジュピター」です。
メンバーはUSPのポリテクニカ(工学部)の学生が中心で、ブラジルにおける航空宇宙科学の普及と発展に貢献することを目指しています。
打ち上げ競技用のロケットを設計・製作して、機体のの様々な性能などで優劣を競い合うために、ラテンアメリカや米国などで開催される各国の有力な大学が参加する国際大会にも出場しています。昨年のラテンアメリカの大会(LASC2023)ではハイブリッド液体モーターを使用したことで入賞したほか、過去に3回優勝したことがあります。昨年の米国の大会(SACUP2023)でもイノベーションを起こしたチームに送られる賞を受賞しました。
【プロジェット・ジュピターの参照サイト】
https://www.projetojupiter.com/
https://www.instagram.com/reel/C3gP1CLOD5s/?igsh=OWo0NmxrbGJlN3Z0
ロケットの発射台を設置するプロジェット・ジュピターのメンバー
プロジェット・ジュピターが創設されたのは2014年で、その翌年に最初に制作されたロケットが打ち上げられました。
現在、メンバーは約100人で、これまで正式な打ち上げは11回行われました。正式なロケットが打ち上げられるまでに、メンバーたちは実験用のロケットも制作して年に2、3回打ち上げ、技術の向上を目指しています。
今年2月18日にもサンパウロ市から車で3時間ほど奥地にあるサンパウロ州ピラスヌンガ市のUSPの農学部の敷地で、制作したロケットが実験で打ち上げられました。広々とした土地で牛が闊歩するような場所です。
この日は1224mまでの高さに到達する予定でしたが、打ち上げ台に羽が引っ掛かるなど、小さなミスがあり、921.7mまでの高さに留まりました。
2月18日に打ち上げられたプロジェット・ジュピターのロケット
プロジェット・ジュピターの特長は、機体から電子データ解析システム、エンジンや燃料に至るまで、設計・製造プロセス全体を独自に行っていることです。米国などに比べて政府などからの資金援助も得られないことから、自分たちで何でも作るしかない状況にあります。
固形燃料にはブラジルには豊富な砂糖も使用しており、メンバーが実験室で複数の原料と混ぜて燃料を作っている時には甘い匂いが漂います。
ブラジルはエンブラエルなど航空機も作って海外にも販売している国です。広大な土地も原料もそろっており、宇宙開発分野でも決して有望な国ではないとは言えません。
今年、ブラジルはG20の議長国で、持続可能な開発の分野でも確実に世界から注目を集めています。世界各国と情報交換して切磋琢磨していくことで、ロケット開発の分野でも注目される日が来るかもしれません。
ロケットの発射準備をするプロジェット・ジュピターのメンバー
2月18日のロケット発射実験に参加したプロジェット・ジュピターのメンバー
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