【ギリシア】ギリシアの碧海に浮かぶ、サントリーニ島の小さな書店
2024.06.08 up
地中海に浮かぶ、サントリーニ島。
深く蒼(あお)い地中海に浮かぶ、ギリシアの美しい島々…というと、どのような風景が思い浮かぶでしょうか?真っ青な海に映える白い壁の家並み、深紅のベゴニアが咲き乱れる窓辺、ふりそそぐ灼熱の太陽、といったイメージを思い抱く人も多いのではないでしょうか。ギリシアを実際に旅した人ならば、絶景スポット満載のサントリーニ島をまず、思い浮かべるかもしれません。島の斜面に、軒並みを連ねた白い家々、透き通った青い空、そして群青色の海がおりなす光景は、世界屈指のバカンス地の名に恥じない美しさです。
かわいらしい外観の書店入口。
訪れる者ならその誰をも魅了するであろうこの島ですが、夏期になると、イギリスやドイツなど西ヨーロッパ諸国からのバカンス客が大量に押し寄せます。しかし、彼らはいったい、サントリーニ島に何を求めてやってくるのでしょうか?もちろん、絶景スポットを含む観光地巡りはマストでしょう。しかし彼らはむしろ、癒しを優先してサントリーニ島を訪れる傾向にあるそうです。多忙きわめる憂き世のことをすっかり忘れ、日長一日ビーチに寝こび、思いきりリラックスするためにここへやってくる、というわけです。
バカンス中に欠かせない楽しみの一つが読書という人も多い。
ギリシアの灼熱の太陽の下、1週間のバカンスをここで過ごした英国人・オリバーとクレイグも、サントリーニ島に魅せられた人たちです。もともとはリラックス目的でやってきた彼らでしたが、例にもれず島の美しさに圧倒されます。しかし、それだけで終わらず、彼らの初滞在は、将来までもを決定づけてしまうほどのインパクトを与えたのでした。何と、彼らはこの島に移住することをその場で決めてしまったのだそうです。
しかし、単に島の美しさのみに魅せられて移住を決意したわけではありませんでした。二人の心の中には、長い間あたためられ続けてきた一枚の青写真があったのです。この夢を実現させるきっかけを提供してくれたのが、サントリーニ島だったのだそうです。その、夢とは「世界で、もっとも美しい場所にある書店」をオープンさせることだったのです。ふたりはそれまでの貯金をはたき、友人の援助を得、遂に「アトランティス・ブックス)」という小さな書店をオープンさせたのでした。今から、20年前のことです。
青空の下で海を眺めながら読書を楽しめる。
目の前に大西洋を臨み、これ以上、風光明媚な場所はない!といえる絶好の場所にあるこの書店は、オープン以来、特にバカンス客から大好評を得ています。書籍の品ぞろえも豊富で、英国やドイツ、フランスなど各国で話題の新刊書はもちろんのこと、ユニークなムックや豪華本、そしてクラシックな名著まで、読書好きなオーナーのセンスが光るセレクションがウリだそうです。
また、バカンス客のみならず、サントリーニ島やその近郊の島々に移住した人々にとって欠かせない、読書という憩いのひと時を提供してくれる重要スポットとしても人気は上々とか。「ここに来ると、まるで自宅に戻ってきたような感じがして、心からほっとする」という常連客からバカンス客まで、読書フリークを魅了し続ける「アトランティス・ブックス」。彼らから、島の秘宝、とまで称されるこの店先にならんだ書籍を手に取ってみるだけで、サントリーニ島での美しい思い出が、誰もの心の中に綴(つづ)られることは間違いないでしょう。
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