
台湾人漫画家の作品をたどるコーナー
2011年から漫画博覧会、台北国際アニメ・マンガフェスティバルをみていますが、その主役でイベントを牽引していたのは、日本人の漫画家であり声優のゲストたちでした。また、それに呼応するかのように、ファンの人たちの日本語の能力も向上し、極端ですが、通訳抜きでもサイン会などの企画が進行していくくらいでした。
途中、新型コロナウイルスの感染拡大で、しばらく日本からゲストが呼べなくなった影響で、台湾人の作家や声優が中心になりましたが、長い時間をかけ徐々に力をつけてきた台湾人作家たちは、カラを破ろうと奮闘しているようです。

日本人からのメッセージ?
まずは、日本の「国際漫画賞」受賞作品の展示コーナーからです。
2012年からほぼ毎年、台湾人作家のマンガが入賞もしくは優秀賞を受賞し、21年と24年には最優秀賞を受賞するまでになったようです。この類のイベントで、日本人作家の後塵を拝する展開はまだ変わっていませんが、少しずつ状況が変わりつつあるような気がします。
途中、来場者のメッセージを付せんで貼り付けるところがありましたが、上の写真のように日本人とおぼしき人からのメッセージも貼られていました。

台湾漫画館のブースより
台湾漫画館のブースは、2月に開催された台北国際書籍展でもブースを出していて、台湾人作家の作品を紹介するだけでなく、誠品書店と提携して販売もしています。上の写真にあるステージでは、ゲストを招いて、サイン会やトークショーなどを行っていました。
私は、今回もここで面白そうな本を見つけて買いました。

作家「A 士」さんの金門衛生兵的日記
今回買ったのは、上の写真の漫画です。作者のA士(エース)さんは、台湾大學日本言語学科卒業で、兵役義務期間中に金門で衛生兵の任務に就き、除隊後はその当時の経験を漫画作品に残しています。この方の作品は、以前、同人誌の販売イベントFF(Fancy Frontier)で見かけ、買った記憶がありますが、台湾の軍隊のことが細かく丁寧に紹介されているのが魅力です。兵役義務のない日本人の私にとっては、あまり知らない軍の中のことを漫画を通して知ることができる貴重な作品だと思っていました。
今年5月に商業出版され、台湾漫画館のブースに並んでいたようですが、同人誌版と違うのは、日本語の解説・説明がないことでしょうか。読者のほとんどが台湾人なら日本語は不要ですが、同人誌版で慣れている私には少し寂しく感じました。
【参考】
https://x.com/kitsunefukka
https://www.pixiv.net/users/187424

日本との共同企画
今回の台湾漫画館で、「縦読みコミック」というものがあることを初めて知りました。
ブースの担当の方から教えてもらいましたが、インターネット、特にスマホで画面を上にスクロールさせる方法で読むタイプのマンガです。韓国発祥で、「ウェブトゥーン」とも呼ばれています。日本では、LINEマンガが有名だそうですが、KADOKAWA(タテスクコミック)、集英社(ジャンプTOON)なども参入している新しい分野のマンガです。
これまでのマンガとは違う画面構成で作品を書いていかないと、読者がつかないようになると思われ、新しい考え方が必要になってくるものだと感じました。
新しい分野のマンガと言えるので、これからマンガを描いていきたいと思っている人たちには、自分の可能性が広がる分野であると思います。
日本の大手企業グループと提携し、「国際縦読みコミックコンテスト」を開催し、幅広く作品を募っています。対象は台湾人のみですが、日本人の漫画家にも負けない才能ある若い世代の漫画家が出てくるかもしれないと思うと、ワクワクする企画だと思いました。
【参考】
https://webtooncontest.taicca.tw
https://taicca.tw/latest_news/news/detail/466
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