予知の実証性は?政治家も巻き込み大激論
2009.04.08 up
4/6夜放送時の司会者とジュリアーニ氏の独占対談
地震に絡みイタリアで今、話題騒然の時の人は、イタリア国立原子物理学グラン・サッソ研究所に勤務する、研究技術協力者のGiuliani Giampaolo(ジュリアーニ・ジャンパオロ)氏でしょう。
彼はラクイラ市の北東にあるグラン・サッソ山でラドンガスの研究を10年間ほどしております。昨年末から一連の地震と同氏の研究するラドンガス増加する測定値を関連付けて、3月末にスルモーナ市地震を予言し市民を混乱させたということで、民間防衛長官Guido Bertolaso(グイド・ベルトラーゾ)氏より処罰を受けるべきということで、書類送検を受けたばかりです。同時に同氏の発言について、イタリア国立物理学火山学研究所の所長Enzo Boschi(エンツォ・ボスキ)氏は、信憑(ぴょう)性がないと嫌味を言っていました。
両者の社会的立場が…
このような背景の中に起きたアブルッツォ州での大地震。世論は賛否両論分かれます。国(市)民は、ジュリアーニ氏の予測を何故組み入れなかったのか、何故予測できていて大被害を未然に防げなかったのかと怒り、国側は実証性がない予測をやたらに警告するわけにいかないと、未だに平行線状態。しかし、問題の核心は国民と国ではなく、彼の科学的研究定義と、それに対する火山学の科学的研究定義がうまくかみ合わないところ、加えて彼らの社会的立場の違いにあるように、私は個人的に見えてきました。
4/7夜放送時のジュリアーニ氏自宅中庭より生出演
国営放送で両者の意見交換を実現
イタリアの国営放送RAIの主要チャンネルRAI1で、地震発生日の夜ゴールデンタイムに、通常深夜人気番組「Porta a Porta」(ポルタ・ア・ポルタ)が地震の特番を放送しました。有名なジャーナリストBruno Vespa(ブルーノ・ヴェスパ)氏が司会を務めています。特番1日目の4月6日は、独占インタビューに答え、ジュリアーニ氏が彼の研究と今回の地震について話しました。昨晩4月7日も同番組特番が組まれジュリアーニ氏は生放送で参加。司会者は、意見の合わないジュリアーニ氏と物理学火山学研究所の地震研究員長との、待ちに待った顔合わせと意見の交換を実現させました。
4/7夜放送時番組サブタイトル「ジュリアーニは、妄想狂か予言者?」
左派、右派政治家ともに怒る
私も個人的に問い合わせがあり、昨日、ジュリアーニ氏と連絡を取ろうとしましたが、彼が2002年から自宅で使用しているラドンガス測定器が今回の大地震で壊れてしまい、夜の番組放送までに修理しようと忙しく、電話で直接話が出来ませんでした。代わりに気さくな奥様と話したとき、「主人は教授ではなく一研究員ですから、教授呼ばわりすると主人が嫌がります」といわれたことに印象が残りました。風当たりの強い状況の中「主人を応援して欲しい」と私にまでも訴えていました。
その時はぴんとこなかったのですが、今回の番組討論で同席していた(左派)政治家Del Pietro(デル・ピエトロ)氏が、物理学火山学研究所の研究員長に「君は(大卒だからといって)スノッブせずもう少し謙虚になり、(大卒でない)相手の意見も聞け」と一喝。しかし火山学研究員長は、地震学上科学的立証がされてないジュリアーニ氏の研究結果と地震予測を関連付けることができないから、この地震の予測方法を受け入れることは一切出来ないと一点張り。同席した(右派)政治家Del Russo(デル・ルッソ)氏も「火山学研究所の態度、とりわけ所長ボスキ氏は、将来の科学の発展のためにも、お互い近寄りあい、屈辱を受けたジュリアーニ氏に素直に頭を下げるべき」と怒っていました。
その他、ジュリアーニ氏とボスキ氏の間で、先にあげたスルモーナ地震予測についても、誤解があったようです。
4/7夜放送時のジュリアーニ氏自宅よりビデオを通して討論参加
結論の出ない言い争い
今回の彼らの討論をみていて、子供が絶対自分の意見を譲らず、相手も受け入れたくない、結論の出ない言い争いのようにもみえてしまいました。
ジュリアーニ氏はテレビの印象からも、人のよさそうな方で、研究一筋のような素朴な方とも見受けました。大卒ではなくても、この分野には30年以上関わり、経験は豊かでその知識の深さも専門研究家という感じです。一方、火山学研究員長の方は、規定どおりしっかり大学を卒業されたでしょう、が、まだ若く経験を積みつつあるという感じでした。同番組に彼の研究を支持し、似たような研究成果を挙げているソ連の研究家からも応援のメールが入っていましたが、火山学研究員の方は変な顔をしていましたが…
これからの地震予測に新しい革命が生まれるのでしょうか?わくわくしてきました。
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