フランス

フランス:ボルドー

佐々木ののか(ささきののか)

職業…大学生
居住都市…ボルドー(フランス)

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「働けば自由になる」と書かれた門

「働けば自由になる」と書かれた門

先日のポーランド旅行の際、アウシュビッツにも行ってきました。
アウシュビッツについては皆さんご存知だと思うので、詳しくは触れませんが、第2次世界大戦の際、ドイツがユダヤ人殺害のために使用した強制収容所です。恥ずかしながら、アウシュビッツはドイツにあるものとばかり思っていたのですが、当時支配下にあったポーランドに置いていたのですね。
 


どれだけ酷い事をしたのかという事についてはここでは触れません。入場前に見た記録映画だけでも目を覆いたくなる様な惨状でしたが、目の前にパネルや当時の人々の髪の毛等の「証拠品」を突きつけられて、文字通り言葉を失いました。
 先ほど、ポーランドにアウシュビッツがある事を知らなかったと言いましたが、他にも知らない事は数多くありました。ユダヤ人以外にもジプシーや同性愛者、一般の死刑囚なども一緒に殺された事、ドイツが第二次世界大戦で負けるまで、他の国はアウシュビッツの存在を知らず、「収容者達」は出稼ぎに出ているのだと思っていた事、汽車で運ばれた直後、医者の診察によって働くのに不向きな人は選別され、働く事なく、すぐにガス室送りにされた事など、私が知らなかった事はあまりに多く、本当に恥ずかしい限りです。


印象に残ったのは、一緒に付き添ってくれたステイ先のポーランド人の友人から「あなたはここに来る前、アウシュビッツでのユダヤ人の迫害はドイツによるものだと思っていた?それともポーランドによるものだと思っていた?」と聞かれた事です。彼女によると、アウシュビッツがポーランドにある事から、他の国の一部の人は今でもこの迫害がポーランドによって行われたものだと思っているとの事でした。支配され、周囲の国からは誤解されて、2次被害も甚だしいですね。


広島の原発ドームなどもそうですが、こういった「負の遺産」を訪れた際に、惨状から目を背けたいがため、被害者の視点から「どうしてこんな酷い事をしたんだ」と加害者を責めがちです。これはもちろん「こんな事は二度と繰り返してはならない」という立派な教訓になります。ただ、同じ人間だという観点で考えれば、その時代背景や周囲の環境次第で、いつ自分が加害者になり得るかわからないという事が本当に恐ろしいと思います。ドイツ軍のした迫害を擁護するつもりは全くありませんが、加害者の立場に立って考える事で、被害者の立場に立って過去の事として距離を置いて考えるよりも、個々人が「自分」というより近い、「ある意味での無限の可能性」を考える事がより平和を守る事に近づくのではないかと考えます。


印象に残ったビルケナウ敷地内に置かれたモニュメント

印象に残ったビルケナウ敷地内に置かれたモニュメント

少し重たくなってしまいましたね。ただ、「最悪の殺害工場」の地を踏んで、これほどまでに考え込んでしまう様な重みを感じたという事が伝わったらいいなと思います。クラコフから鉄道で3時間と少々不便な場所にありますが、皆様も機会がありましたら、ぜひ訪れてみる事をお薦めします。


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  • 2 コメント

2 - Comments

より:

2012 年 05 月 06 日 08:45:38

はじめまして。
ヨルダンのパレスチナ難民局の女子中で美術の先生やってる
和さんです。
アラブにどっぷりつかる前、
ユダヤのことも気になり、私もアウシュビッツへ行きました。
当時のことを、ブログに乗せているので、お時間があったら是非。

「アウシュヴィッツから生きることを考える」
http://kazitabonita.blog133.fc2.com/blog-entry-37.html

「ポーランド国王の葬儀」2年前の4月です
http://kazitabonita.blog133.fc2.com/blog-date-201007-4.html




佐々木ののかより:

2012 年 06 月 16 日 07:31:11

はじめまして、こんにちは。
コメントに気づかず、お返事が遅くなってしまってすみません。
早速チェックさせていただきますね。

ありがとうございました。

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