トスカーナ州マレンマの秘境、岩壁にそびえたつ町ピティリアーノ
2012.08.05 up
凝灰岩の岩壁にそびえ立つ町ピティリアーノ
トスカーナ州南部マレンマ地方、かつて湿原地帯であったゆえ水牛飼育開拓が栄え、マレンマのカウボーイ“ブテッロ(Buterro)”が沢山生まれました。今でも豊かな自然と素朴さ溢れるマレンマの秘境、巨大な凝灰岩の岩壁にそびえ立つ町ピティリアーノ(Pitigliano)があります。
20年前始めて見たライトアップされる夜景の絶景にただ驚くばかり。町に向かう曲がりくねった道にあるフォトスポットで20年前フィルムに収めた写真は、今デジカメで撮った画像と全く変わらず、時の流れを感じさせない町です。
町の入口の風景
人口4千人という小さな町ですが歴史古く、エトルリア時代にはすでにワインを製造し、当時ギリシャや東方に既に輸出もしていたようです。古代ローマ時代にローマより追放されこの町に逃げ隠れたPetilioとCelianoの名前を一緒にして地名が生まれたという伝説があります。その後中世に入りユダヤ人を保護し今でも残るゲット街、“小さなイエルサレム”という別名を持つ独特な文化があります。
町中の狭い路地に活躍する三輪自動車
町中は中世時代の建物がひしめく中の細道、その地下には第2の町があり、地下道や井戸を通じて沢山の洞窟を利用した小部屋の穴倉があり穀物の保管やワインセラーとして利用、遠い昔洞窟を住居として利用していた事がわかります。岩壁の足元には幾つかのエトルスキ人による岩壁を掘り割った道の散策コースもあります。
町の下を流れるレンテ川には、地元っ子達が子供の時ピティリーアーノ・ビーチと呼び行水をするスポットがあり、まるでお伽の国で行水した気分にさせてくれます。
地元っ子が行水する”ピティリアーノ・ビーチ”
マレンマは有機栽培が盛んで、土地で取れる野菜は元気で肉の味も濃く、ローマ市内で購入する薄味無農薬野菜とは全く違います。そこから生まれるチーズやサラミ、ワインは格別で、素朴でありながら個性強い味の中優しさを感じます。
周辺で獲れるイノシシのサラミやトマトソース煮、マレンマカウボーイ達の粗食から生まれた豆と野菜の煮込みスープ。地元の友人がドライブ中に轢いてしまい、お母さんに調理してもらったヤマアラシのトマトソース煮は、珍味で野獣を食べたあの歯ごたえが忘れられません。
よくわかりにくいのですが、”ヤマアラシのトマトソース煮”
ローマから140km車で2時間半の距離、主要都市を結ぶバスはありますが、周辺を回るのにも車で行くのがベスト。
近場に有名な温泉療養サトゥルニアもあり、エトルリア時代の遺跡の残る隣町にソヴァーナやソラーノ、ソラーノには近年温泉施設が出来上がりました。近辺には沢山の農園ホテル・アグリツーリズモも沢山あり、トスカーナ州のわりに比較的お手頃な値段で宿泊できる穴場です。
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