ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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時々、路上生活者がたむろすることのある、サンパウロ市内各所にある「広場」の一つ

時々、路上生活者がたむろすることのある、サンパウロ市内各所にある「広場」の一つ

 サンパウロでは、日本語の感覚でどこにでもあるような「公園」と表現できる場所は、大きく「公園(parque)」と「広場praça」に分けられます。

 「公園」と「広場」の一目見て分かりやすい大きな違いは、鉄柵で囲まれているか、いないかという事です。公園は柵があり、広場にはありません。

 さらに、少しうがった見方で表現するならば、「公園」は社会のモラルやマナーが順守されて比較的きれいに保たれていますが、「広場」は路上生活者や若者の問題行動が見られるなど、風紀の乱れがうかがえる場所も少なくないような気がします。


サンパウロ市内各所にある「広場」の一つ

サンパウロ市内各所にある「広場」の一つ

 大部分の公園や広場は市に管理されています。サンパウロ市内には数十カ所の公園が地域ごとにあり、地域のシンボルにもなっています。

 公園は柵の合間に設けられた門を通り抜けて出入りします。閉門時間があり、公園ごとに時間は異なりますが、開門は午前5時から7時ごろ、閉門は午後6時から8時頃が一般的です。時間を過ぎると一般の人はほとんど自由に出入りができません。

 公園は日中、管理人が常駐していたり、警察が巡回したり、毎日規則的に清掃作業員が掃除をしてくれていることがほとんどです。治安が悪く、公共場所が汚いというサンパウロの一般的イメージを越えて、比較的快適な空間が保たれている印象を受けます。


鉄柵で囲まれ、門から出入りするよく整備されたサンパウロ市内の公共の「公園」の一つ

鉄柵で囲まれ、門から出入りするよく整備されたサンパウロ市内の公共の「公園」の一つ

 「広場」は「公園」と同じように子供の遊具があり、木々が植えられ遊歩道があるなど、本来なら素敵な街の空間になるはずです。

 ところが、柵が無いだけにいつでも誰でも自由に出入りができるというメリットがある反面、若者の問題行動が見られたり、路上生活者が居住空間を作ったり焚火をしたり、時には宴会のようなことまで行い、ゴミを放置している様子などを見かけることがあります。 

 広場を使用している人のモラルやマナーに問題が見られても、よほどの事でない限り、周辺の住民や警察も厳しく取り締まるという事が少ないのが現状です。

 厳しく取り締まる方法もあるかと思いますが、「どうしてマナーやモラル違反を起こす人が出てくるか」という事まで深く突き詰めると、必ずしも正義を振りかざす事だけが正解ではないのも確かです。

 社会の模範を示す「公園」に対し、「広場」は社会全体のガス抜き的な要素が秘められていそうな、サンパウロ市内の一般的な公園の様相です。


鉄柵で囲まれ、門から出入りするよく整備されたサンパウロ市内の公共の「公園」の一つ

鉄柵で囲まれ、門から出入りするよく整備されたサンパウロ市内の公共の「公園」の一つ


時々、路上生活者がたむろすることのある、サンパウロ市内各所にある「広場」の一つ

時々、路上生活者がたむろすることのある、サンパウロ市内各所にある「広場」の一つ


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