ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

前の月へ

2024.9

次の月へ
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30      

サンパウロ市のルス公園で監視カメラが設置されていることを通知する看板

サンパウロ市のルス公園で監視カメラが設置されていることを通知する看板

 鉄柵に囲まれた公園の正門を通り抜けると、「監視カメラで録画されている」という看板の目に入る公園があります。安らぎと癒しの空間であるはずの公共公園に、一瞬緊張が走ります。

 監視カメラがあることを示す看板の立つ公園の一つが、サンパウロ市内で最も古いルス公園(Jardim da Luz)です。

 ルス公園の様相は、ここ12年の間に変化しました。


サンパウロ市のルス公園の正門。奥の方では団体観光客がガイドの説明を聞いている

サンパウロ市のルス公園の正門。奥の方では団体観光客がガイドの説明を聞いている

 2001年頃は、何となくゴミが目に付く薄汚い雰囲気があり、不審者かもしれないと思わせるような人がたむろし、子供の遊び場の遊具も壊れていたり、鉄柵に囲まれた公園内にいると逃げ出せないような目に遭うのではないかという危機感を持たされる空気が漂っていました。

 それが、2001年から4年間サンパウロ市長を務めていたマルタ氏の政策で、公園をきれいに整備することで治安を向上させるという計画が実行され、実際、今日までサンパウロ市内各地の公園や広場が、比較的快適できれいな空間に整えられてきたように見えます。

 ルス公園には以前、監視カメラを通知する看板は立てられていませんでした。

 公園をより安全な場所にするために監視カメラの設置を知らせる看板まで立てられるようになったのかも知れませんが、見方によっては、監視カメラを付けなければ問題行動を起こす人が現れるのだろうかと勘ぐられます。


ルス公園の鉄柵の外側でしか過ごせなくなっているホームレスの人々

ルス公園の鉄柵の外側でしか過ごせなくなっているホームレスの人々

 現在のルス公園は、日中に散策していてもほとんど危ない雰囲気はありません。警察や警備員の人も巡回しています。公園の各所にゴミ箱が設置され、あからさまにゴミを投げ捨てたり放置する人もいなくなりました。ホームレスの人も公園の柵の外でしか過ごせなくなっています。鉄柵に囲まれた公園には門限もあり、夜は人が出入りできないように管理されています。

 週末は隣接する美術館に人の出入りが増え、ついでに公園に植えられた植物や青空の下に展示された美術品を見学するなど、旅行者の観光名所にもなっています。

 マルタ市長が就任したばかりの2001年頃には見られなかった風景です。


サンパウロ市のルス公園内

サンパウロ市のルス公園内

 ルス公園はブラジルが独立する1822年より以前、1798年に植物園として設置され、1825年には本格的に町を都市化するためにサンパウロ市内の公共公園の第一号と定められました。19世紀末から20世紀初頭にかけて、隣接する大通りがフランスの大通りを手本にして開通されたように、ルス公園もヨーロッパ風の公園をモデルに整備されたということです。

 きれいに維持すれば、植物園として開設された公園らしく、ブラジルの豊かな自然を感じさせる美しい景観設計になっているルス公園です。ナマケモノまで生息しています。にもかかわらず、以前の公園内には不信感を抱かせるホームレスの人が我が家のように過ごし、投げ捨てられたゴミも多く、どこからともなく異臭を感じ、一般市民の憩いの場という雰囲気が薄れていました。

 監視カメラの設置だけで公園の環境が変わったわけではありませんが、公園は管理の仕方や利用の仕方によってずいぶんと様変わりするのだということを、ここ10年くらいで変化したサンパウロの公園は示しています。

【ルス公園について】
http://www.aprenda450anos.com.br/450anos/vila_metropole/2-2_jardim_luz.asp


サンパウロ市のルス公園内

サンパウロ市のルス公園内


レポーター「大浦 智子」の最近の記事

「ブラジル」の他の記事

0 - Comments

Add your comments

サイト内検索

Name(required)

Mail(will not be published)

Website

Archives