ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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海感覚の内陸の川

2013.09.10 up

サンパウロ州のサンタ・マリア・ダ・セーラを流れる川を走るクルーザー

サンパウロ州のサンタ・マリア・ダ・セーラを流れる川を走るクルーザー

 ブラジルに来たことのなかった15年ほど前、海辺で育った者としての一方的な意見として、ブラジルの内陸部(マトグロッソ州)で育った人に、
「海のないところでよく生活できるね」
という話をしたところ、
「川があるから海みたいに遊べる」
と回答されたことがありました。

 川で海みたいに遊べるといっても、日本の細長い急な河川しか思い浮かばず、日本で有名な利根川や千曲川、淀川などを思い浮かべても、川が海みたいということがイメージできず、にわかに川で海みたいに遊ぶということが信じられないでいました。


サンパウロ州のサンタ・マリア・ダ・セーラを流れる川。川岸には別荘地と思われるコンドミニアム住宅が見える

サンパウロ州のサンタ・マリア・ダ・セーラを流れる川。川岸には別荘地と思われるコンドミニアム住宅が見える

 ブラジルの内陸部で知られた川になると、確かに大きな湖のような川があります。

 本当に海のように見えるアマゾン川ほどではなくても、十分、海のような感覚でクルージングをしたり、水上バイクを走らせたり、釣りをしたり・・・海のようにレジャーを楽しむ人たちがいます。

 そんな場所の一つが、サンパウロ市から約220Km内陸に入ったサンタ・マリア・ダ・セーラ(Santa Maria da Serra)です。


サンタ・マリア・ダ・セーラの川の遊覧船に乗り込む人々

サンタ・マリア・ダ・セーラの川の遊覧船に乗り込む人々

 サンタ・マリア・ダ・セーラには、サンパウロ州沿岸部の山脈を水源としてサンパウロ市も通るチエテ川と、近郊の町を流れるピラシカーバ川といった河川が合流し、大きな湖のような河川が流れています。大西洋からは内陸に車で5、6時間ほど入り込んだ場所ですが、穏やかで広々とした河川が広がっています。


 町自体は人口約5800人で、これといったレストランやホテルも少ない場所です。観光ガイドで扱われていないこともあり、観光客も多くありません。

 それでも人づてで水上レジャーが好きな人が集まっており、川の周辺には別荘もあり、小型のクルーザーや船を庭に置いている別荘が多く目に付きます。

 唯一の観光名物は食事をしながら3時間遊覧できる船で、予約制で週末には遠くからの観光客が訪れています。川の船でありながら海軍の乗組員が責任を持って運航しています。

 船から川沿いを眺めていると、時々新しいこじんまりとしたコンドミニアム(集合住宅地)も見られ、陸上にはアスファルトも敷かれていない様子ですが、町の波止場から自家用クルーザーで移動して過ごすのには不便はなさそうです。


サンパウロ州のサンタ・マリア・ダ・セーラの川にクルーザーを運んできた人

サンパウロ州のサンタ・マリア・ダ・セーラの川にクルーザーを運んできた人

 サンタ・マリア・ダ・セーラで合流した川は、やがてサンパウロ州とマトグロッソ・ド・スル州の間に横たわるパラナ川に合流し、パラナ川はアルゼンチンのラ・プラタ川につながり、川の水は最後は大西洋に注ぎ込みます。

 ブラジルでは植民地時代、バンデイランテ(奥地探検隊)が内陸部を探検するに当たって、船で河川をつたって移動したことが知られています。サンタ・マリア・ダ・セーラで合流するチエテ川もバンデイランテがたどった河川の一つです。

 南米をゆったりと流れる内陸の大河だけに、海にも負けない魅力的な川が存在するブラジルです。 


サンパウロ州のサンタ・マリア・ダ・セーラを流れる川の遊覧船の運転席を見学する親子。船は海軍の乗組員が責任を持って運航している

サンパウロ州のサンタ・マリア・ダ・セーラを流れる川の遊覧船の運転席を見学する親子。船は海軍の乗組員が責任を持って運航している


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11 - Comments

いとうより:

2013 年 09 月 10 日 11:47:13

いとうです。
川というか、湖ですね。確かに、水平線が見える感じの、巨大な
「かわ」ですね。サンタ・マリア・ダ・セーラをGoogleMapでみましたが
確かに周辺には小さそうな街しかなく、リゾートという感じでは
ないのですが、その分水がきれいなのかもしれないですね。

初めて、アメリカの5大湖を見たときも、湖の概念が覆されるくらい
巨大でしたが、おんなじですね。

oouraより:

2013 年 09 月 10 日 19:51:01

〉いとうさま
 大陸ではこのような川や湖、海のように錯覚する川も珍しくもないのでしょうね。アメリカもそうだと思いますが、ブラジルもこのような河にナマズの一種(キャットフィッシュみたいな)がいて、おいしく料理されることがあります。
 サンタ・マリア・ダ・セーラはほんとうに特に何もないシンプルでナチュラルないい場所だと思いました。小さな集落の町で、まだまだ別荘地として有名でも確立しているわけでもなく、サンパウロからは車で飛ばしても3、4時間ということもあり、将来性は謎ですが、長い将来を見据えている人が土地を所有しているとか、単純にのんびりと静かに水上レジャーを楽しみたいひとが休暇で訪れている印象を受けました。ポケットに余裕があれば私も、といいたいとこですが、うーーっ…今日も冷や汗が、、、

石田より:

2013 年 09 月 12 日 21:01:36

確かにゆったりと流れるのは海と間違えてもさもありなんという感じですね。
ただ、塩分がないので浮きづらいとか無いですか?

あ、泳いでて水飲んでも塩辛くないので良いかも。

oouraより:

2013 年 09 月 15 日 05:01:11

〉石田さま
 この町の川は、3本ほどの川が合流したごく中規模の湖のような川です。アマゾン川はもちろん、サンパウロ州内の別の場所なら、さらに海っぽい本当に幅の広い河川もあります。確かに、飲み込んでも塩水じゃないのはいいですね。とりあえず船は浮かんでいましたよ!淡水とはいえ、川魚は海の青魚系よりは断然大きくて肉厚、それでいて料理の仕方ではかなり美味な魚たちが泳いでいます!!

前田久紀より:

2013 年 09 月 15 日 12:12:39

大浦智子様
前田久紀と申します。

貴ブログの 2012.10.15 「桜の花よりも珍しくなった国の木「パウ・ブラジル」の花」に
コメントを3回記入させて頂きました。
ご確認願えないでしょうか。
よろしくお願い致します。

大浦より:

2013 年 09 月 15 日 20:12:11

〉前田久紀さま
 申し訳ありません!記入に全く気が付きませんでした。今から確認いたします。

大浦智子より:

2013 年 09 月 15 日 20:22:35

〉前田久紀さま
  「桜の花よりも珍しくなった国の木「パウ・ブラジル」の花」のページを確認したのですが、コメントが一つも入っていません。
 コメントを記入した後、下の方にあるパスワードを入力されてから送信ボタンであるsubmit commentを押されましたか?パスワードを入力しても、一度ではコメントがサイト上にアップされないことがあります。
 パスワードを入力する前に記入したコメントをコピーしておき、その後、パスワードを入力してsubmit commentボタンを押し、その後、コメントがページ上にアップされているかを確認して、されていなければ、もう一度同じ作業を繰り返されると、何回かやっているうちに必ずコメントがアップされます。
 技術上のことは私はよく分からず、上記の作業でもコメントがアップされない場合は、十勝毎日新聞社の方に直接ご確認ください。
 コメントがアップされるのをお待ちしています。

前田久紀より:

2013 年 09 月 15 日 20:48:14

大浦智子様
霧島市在住の前田久紀と申します。
ブラジルとは深いかかわりをもっております。
ここで、連絡がとれましたので、用件を書かせて頂きます。
突然、初めてのご連絡で、恐縮です。
多分、ご存知だろうと思います薗田明憲さんと和田好司さんから
パウ・ブラジルの種子を送って頂き薗田さんのものは2010年に播種し
50cmくらいに成長、今回和田さんから種子が届いたところで
種々調べた結果、両方ともパウ・ブラジル(Caesalpinia echinata)ではないことが判りました。
その調査の過程で、貴ブログに出会い、参考にさせて頂き、一部勝手に引用させて頂きました。
不都合なら削除致しますので大変お手数ながらご連絡ください。
貴ブログの記載の中に、開花まで半世紀かかるとの記述がありますが
苗を植えて数年で開花するのではありませんか。
ご確認ください。結実するまで30年以上かかるようです。
私の調査結果を下記ブログに掲載しました。ご指摘などございましたら教えて下さい。
http://kirishiman.blogspot.jp/2013/09/caesalpinia-echinata.html
勝手なお願いばかりで恐縮です。
和田さんとは10月26日から数日日本でお付き合いします。
園田さんは10月28日から日本に来られて鹿屋にも来られます。
お会いできればと思っています。二人とも友人です。

大浦智子より:

2013 年 09 月 16 日 04:40:49

前田久紀さま
 改めて初めまして。コメントありがとうございます。
 早速ブログを拝見いたしました。私の方こそ、引用ご紹介していただき、微力ながらお役に立たせていただけた事、光栄です。
 個人的なお付き合いはございませんが、和田様、園田様は大変ご活躍されている方であり、存じ上げております。
 本題のパウ・ブラジルの件、大浦文雄氏のご自宅のものは間違いなく本物です。元はINSTITUTO FLORESTALから50年近く前に種をいただき育て上げたものです。
開花する時期をもう一度大浦文雄氏に確認しましたところ、確かに数年で咲き始めることはあるだろうとのことですが、それは、ブラジルでも北部、北東部の一年中温暖な熱帯地域のことで、大浦文雄氏の自宅があるサンパウロ市近郊のように亜熱帯地方の気候区分にあっても10度以下の寒さに冷え込むようなことのある場所では、若干、開花や結実の時期に遅れがあると考えられるということです。
 それ故に、大浦文雄氏の庭に植えたパウ・ブラジルがポツポツと開花し始めたのは25年過ぎてからのことで、本格的に木全体に満開の状態を迎えるようになったのは30年を過ぎてからのことだったそうです。そして、花が咲いても必ずしも鞘がつくことのない時期が何年か続いたということです。わずかに数えるほどの鞘と実が見られることもあったそうですが、確実に収穫できるほど結実したという状況を迎えたのは40年経ってからのことだそうです。さらに、その後も続けて毎年結実するかというとそうでもなく、満開を迎えても、鞘のつかない年もあるということです。
 寒すぎる気候の土地では、苗が育ちきらず、枯れてしまう事もあるのではないかとも話されていました。
 それ故に、貴重なパウ・ブラジルの種ということで、大浦文雄氏は結実した年には種を拾い集めて、適切な期間内にポットに種をまいて苗を育て、友人知人、公共の場にパウ・ブラジルの苗を配られていました。その苗を栽培するポットの並んだ写真は、ご覧いただいた『桜の花よりも珍しくなった国の木「パウ・ブラジル」の花』の一枚目の写真の中に写っています。
 ブラジルに原生していて姿を消しかけた木を、日本人がわずかながらの種と苗に全力を傾けて再びよみがえらせようというそのお姿、実はすごいお話だと思います!大航海時代以降、ヨーロッパからやって来た守銭奴に持ち去られてしまったパウ・ブラジルを、日本からやって来た人がよみがえらせるなんていう神々しいながらも小さな事実です。今年89歳になられる大浦文雄氏のご姿勢にはただただ学ばされることしかありません。
 とにかく、市販のパウ・ブラジルの種や苗にも本物と似たものが多く、パウ・ブラジルだと思い込んでいたものが実は違うという事は、よくあるようです。私も未だ見分ける自信がありません。実際、近所にも似たような葉っぱと花咲く木があります。
 大浦文雄氏のご自宅にパウ・ブラジルが結実した折には、改めてお知らせする事ができるともおっしゃっています。和田さんや園田さんからサンパウロで直接ご連絡いただいても構いません。次回は本物のパウ・ブラジルをぜひ!!今年も10月頃に花咲く模様です。

前田久紀より:

2013 年 09 月 16 日 10:01:10

大浦智子様
早速のご対応、大変ありがとうございました。
パウ・ブラジルの開花始めの時期の件、よく解りました。
納得しました。
もし、可能ならメールでご連絡したいので、メールを
頂けないでしょうか。

管理人より:

2013 年 09 月 17 日 11:07:13

前田久紀様
大浦さんのメールアドレスについては、管理人までご連絡ください。
support@ima-earth.com です。
よろしくお願いいたします。

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