メイド・イン・ジャパンが支えるマスク販売 その2
2020.05.03 up
液晶画面の表示 下にマスクの残り販売数が表示されています。
早速、この自動販売機でマスクを購入してみました。
まず、健康保険証カードを差し込みます。この時、購入資格の有無が表示され、過去14日以内の購入記録があった場合、「〇月〇日まで購入できません」と表示されます。
購入可能な場合、その下にある番号のボタンを押し、購入するマスクを決めます。
電子決済の画面
その後、支払いになりますが、支払い方法は交通系ICカードの悠遊カードがQRコードを用いた電子決済のいずれか。現金は不可です。
私を含め、多くの人はすでに普及している悠遊カードでしたが、電子決済を使っていた人も中にはいました。悠遊カードでも読み取り速度は十分早いのですが、電子決済はわずか数秒で済むそうで、さらに便利になっていました。
マスクが販売口に来てから受け取り、購入が終わりますが、この間約2~3分。
薬局で購入する場合、お金の支払いからですが、この時お釣銭が出ないようにしないといけません(注:私が利用した薬局はそうでした)。支払いが済み、マスクを受け取ってから、薬局のカードリーダーで購入記録を残しますが、ここで時間がかかります。必ず前に二人いるので、その人たちの健康保険証カードの読み込み後、自分の番になりますが、この間約3分。ただし、カードの接触不良で手入力を行うなど、時間がかかった場合は5分近く待つこともありました。
購入の様子を見つめるピンクのベストを着たボランティアスタッフ
薬局の対面販売と比べるだけでも、マスクの自動販売機が大変有用かつ便利であることが分かります。
その過程を学ぼうと、ボランティアスタッフが購入者の後ろを固め、メモを取るなどしていました。また、離れたところでは、自動販売機の会社の方も待機して様子を見つめていました。
2月に置かれたテスト用の自動販売機
マスクの自動販売機も、最初は2月下旬に観光スポットの寧夏夜市の一角に置かれていました。気になって様子を見てきましたが、日本の中古自動販売機を販売している会社の人が設置したものと分かりました。
この時は、販売システムと機械のテスト目的で、経営者の方が所有していた非医療用のマスク(注:医療用は刑法第251条の処罰対象)を使い、無料で配布していました。
最初は多くの人が並んだことで、警察や報道関係の人が来て大変だったそうです。会社の人の話を聞いたら、毎日販売対応している薬局との薬剤師の負担を軽くできないかと考え、製品化したものを試験的に設置した、ということでした。
テストから約2ヶ月。
会社、衛生福利部、台北市との協議、運用システムの開発が進み、制度の変更に合わせ、念願の登場となりました。
中型の自動販売機
設置当初、多くの人が並びましたが、4枚目の写真のもの1台しか用意していなかったため、扱える数量も少なく、購入までに時間がかかっていたそうで、上の写真の中型、前回紹介した大型の自動販売機を改造したタイプの合計3台導入した、ということでした。
総括すると、販売効率がよく、マスクの在庫と購入者の管理も手早くでき、薬局と薬剤師の負担軽減につながることから、台北市は幅広く設置したい、と考えているようです。また、会社としても全台湾に普及させていければ…と考える一方、マスク販売用は一時的なものなので、その後の自社製品の販路開拓につなげていきたいという展望もあるようです。
日本人の私にとっては、中古の日本製自動販売機が台湾で社会貢献しているのがうれしかったと同時に、この自動販売機たちがあまり元気がない今の日本に無言のエールを送っているような気がしました。
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