“ナンバー11”だらけの不思議な州、ゾロトゥルン
2021.12.23 up
要塞の門のような入り口を抜けて、旧市街へ
数年ぶりに、スイス北西部に位置するドイツ語圏のゾロトゥルン(Solothurn)という町を訪れました。
ゾロトゥルン(ソロトゥルンとも)州の州都でもあるこの町には旧市街があり、石畳のある小さな路地やバロック様式の建物が美しく、ブティックなどの店も多く並んでいるので、ぶらっと軽く町歩きをするのにぴったりの町です。
また、ゾロトゥルンには因縁(?)の数字があります。その数字とは『11』。
スイス連邦に加わった11番目の州であることを始め、町には11の教会とチャペル、11の泉、11の塔が存在するなど、多くの『11』にまつわる話がここかしこにある、不思議な町でもあります。
あちこちに美しい造形の泉や建物があり、絵になります
さて、本当はゾロトゥルンの町のクリスマスマーケットへ行くのが本来の目的だったのですが、スイスでの新型コロナ感染者の増加や、オミクロン株の出現もあり、この町のクリスマス市は中止となってしまいました。
とはいえ、日中の人出は多く、町のささやかなライトが雪の積もった旧市街を照らしていて、温かな雰囲気を醸し出していました。
旧市街の入り口の門から中に入っていくと、すぐ右手に旧兵器庫博物館(Alteszeughaus Museum/アルテスツォイクハウス)があります。その名の通り元々は兵器庫だった建物で、内部は4階建てになっています。各階に、何百という鎧、槍や銃、大砲など数々の兵器が展示されていました。
旧兵器庫博物館のすぐ斜め前にあるのは、La Couronne(ラ・クロンヌ)ホテル。
民宿としてスイスで2番目に古く、1418年に創業した伝統あるホテルで、かつてはナポレオンやイタリアの文筆家カサノバ、そして現在も活躍中の女優ソフィア・ローレンや、オペラ歌手のホセ・カレーラスなども、このホテルに滞在したことがあるのだそう。
旧兵器庫博物館の外観
ところで、上記のホテルのそのまたすぐ近くにユニークなバーが。アブサン(Absinthe)を専門に扱っている店です。
アブサンとは、『緑の妖精』の異名を持ち、かつては禁断のお酒として長らくヨーロッパで販売禁止となっていた飲み物なのだとか。
スイス発の飲み物で、ニガヨモギやアニス、その他諸々のハーブがたくさん入っており、どちらかというと昔は薬として用いられていました。画家や思想家など、芸術家の間で特に人気のあるお酒となり、安価に作られては多く販売されるようになったのだそう。
左手の角にある建物が、ホテル『ラ・クロンヌ』
しかし、ニガヨモギの中に含まれる物質に、幻覚作用などを起こすものがあったり、健康に良くない化学物質なども含まれていたりで、社会問題となっていったため、スイスでも1910~2005年までの95年間は禁止されていました。
現在、アブサンは法律にのっとった製造・販売が行われるようになっているので、合法となっています。
アブサン専門のバー。店名もアブサンの異名を表す『Die Grüne Fee (ディ・グリューネ・フェー/緑の妖精)』
そうこうしているうちに、日が落ち暗くなってきました。
暗く寒い冬の夜に、クリスマスのイルミネーションがキラキラと光り、幻想的な風景が広がると、夜の町歩きも楽しむことができそうな感じです。実際、週末の夜だったからか、多くの人々が暗い町の中、歩いているのを見かけました。
ちょっとした日帰り旅行におススメの町ですので、機会があればぜひ訪れてみてくださいネ。
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