ドラゴンが住む?ピラトゥス山ホテルで宿泊体験(後編)
2021.06.04 up
青空の中、遠くに連なる山々と目前の雪山が一度に視野に入り、圧倒されます
赤い大型ケーブルカーに乗り、2000メートル級の山にある最終駅、ピラトゥス・クルム駅に到着。
ここには、1860年に建てられた『ホテル・ベルビュー(Hotel Bellevue)』、1890年にでき、今回一泊する予定の『ホテル・ピラトゥス・クルム(Hotel Pilatus Kulm』の2つのホテルが、1年を通してスイス国内外から訪れる人々を温かく迎えています。
ケーブルカーの最終駅で降り、駅から続く通路に沿ってそのまま歩いていくと、上記2つのホテル共通のレセプションエリアへたどり着くようになっていました。現在も続くコロナ禍のため、海外からの観光客がほとんどいないこともあり、建物内部はかなり静かで寂しい雰囲気。
それに反比例するかのように、ホテルの外にあるレストランのテラス席は、息をのむようなパノラマビューが楽しめることもあり、日帰りでハイキングに訪れた人々でにぎわっていました。
ホテルのレセプションエリア。登山電車駅とケーブルカー駅と連結しています。
チェックインを待つ間、レセプションエリアにある大きな窓から、白雪をかぶった山々や、遥か下の方に見える湖や町といった絶景が見られるホールで休憩していました。
春とはいえまだ寒い時期で、大きな窓には雪が多く積もっています。ここでお茶やコーヒーを飲みながら、何時間も景色を見ている人もいるとか、いないとか。
さて、チェックインを終えて自分たちの宿泊する部屋へ行くと、なぜか室内が中途半端に薄暗いのです。外は快晴、まだ午後の日が高い時間だというのにナゼ?と部屋の窓を見てみると、窓の半分ぐらいに雪がかぶさっていたのが原因のよう。後で外に出て、宿泊している部屋の窓を見てみたら、何メートルもの雪がまだ積もっていて驚きました。
毎年冬から春にかけて、そういう状態になるのか、この時期この部屋に宿泊すると、豊富な種類のドリンクが部屋に備えられたりといったサービスがあるようでした。
部屋の窓が半分雪で埋まっていたのは、この何メートルも積もった雪のせい!
ホテルの建物内には、「ドラゴンワールド」というコーナーが一角にあり、ゲームができたり、ピラトゥス山の歴史やドラゴン伝説に関するショートフィルムが上映されるミニシアターがあったりと、滞在する子どもたちも飽きずに楽しめそうです。
その他、歴史ある山頂ホテルなので、当時の契約書やホテル建築に関する書類などが、ホテル内に展示されていて興味深かったです。ちょっとしたミニ博物館、といった感じでしょうか。ホテルの外には、細くて長く続く洞穴のようなDrachenweg(ドラヘンベーク/『ドラゴンの道』の意味)もあり、ごつごつの足場をそろそろと歩きつつ、360度の異なる景色を楽しむこともできます。
ピラトゥスの山頂で眺める夕日は、どことなく神秘的
夕方になると、日帰りでピラトゥス山を訪れていた人たちは、最終のケーブルカーで下山してしまい、ホテルの宿泊客だけが残ると、静寂さが再び戻ってきました。
夕食後に、宿泊客の人たちがこぞって、ぞろぞろと外へ出始め、どこかへ出かけているようです。どこに向かっているのかな、と一同が向かう方向を目で追っていると、どうやら更に高い所へ登って、そこから沈む夕日を見に行くところのよう。
その中ひと際目立っていたのが、大きく立派な撮影機材を背負って、木の階段を登っていた学生っぽい男性たち数人。大学のプロジェクトなのか、趣味のグループなのか、どちらにせよとても楽しそうでした。
もちろん筆者も便乗(!)して、皆の後を追うようにして慌てて夕日を見に行きました!晴れていたので、夕日とアルプスの山々、夕日に反射する雲など、自分が住んでいる場所からは見ないような景色を堪能することができました。
ちなみに、朝日を拝むため、翌朝とても早起きをする宿泊客も結構いるのだとか。
ホテルの朝食。オムレツやサーモンなど、お腹いっぱいいただきました。
次の日の朝食時、「密になったりしないか」とやや不安に思いつつレストランへ行きましたが、レストラン内が広かったこと、そして宿泊客も多くなかったため、十分テーブル間の距離をとるなどの感染対策ができているようでした。ビュッフェではなく、客がメニューを見てそれぞれオーダーし、持ってきてもらうスタイルでした。
コロナ禍で困難を強いられているホテルですが、大変な状況の中、美味しい朝食を提供してくれ、とても満足できました。
今回は雪がまだ多く残る春先に、ピラトゥス山宿泊体験をしたので、ハイキングなどのアクティビティはあまりできませんでしたが、野生動物たちが活発に活動する、夏や秋頃にはアルプスでおなじみの大きな角のヤギ、シュタインボックやゲムゼといったカモシカのような動物たちに会える機会もあるとのこと。
いつか今度は、暖かい時期にピラトゥス山を再訪できる日が来れば嬉しいな、と思いつつ山を下りました。
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